品格さまざま(55) | 俳句の里だより2

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国会議員の品格(8)

 

この「国会議員の品格」シリーズも昨年夏に続いて今回で8回目となる。それほどに国会議員の品格の悪さと言うか、品格の無さが今なお目立って多く世間を賑わしているが、いい加減にして欲しいものだ。品格の無い国会議員の多くは、毎回取り上げているように、ほとんどすべてが与党である自民党議員であるのは、必ずしも偶然ではない。前回のブログでは自民党議員の3名を取り上げてその品格の無さというか、その悪行について紹介したが、以下に簡単に振り返ってみた。

 

まずは「エッフェル松川」で一躍有名になった松川るい参院議員であり、研修旅行の名目で団体観光旅行を楽しんだものであり、それも大部分が国費(税金)での「大名旅行」で、おまけに10歳の次女までパリに同伴するという図々しさだった。品格も何もあったものではなく国会議員失格であるが、未だに辞職する気は毛頭ないようだ。2人目は、「木原疑惑(木原事件)」や愛人スキャンダルで世間を賑わした岸田政権の右腕とされる木原官房副長官であり、その後辞任したが疑惑に関して一切会見を行わず、これまた議員失格である。3人目は、洋上風力発電に係る収賄容疑で家宅捜査を受けて辞任し、自民党を離党した秋本外務政務官であり、後に逮捕・起訴されたが、これまた議員失格である。

 

これ以外にも品格の無い国会議員の例を挙げれば切りは無いが、こんなに自民党議員による好き勝手な、公私混同の振舞い、巨額の税金の流用、権力乱用による警察への介入疑惑、さらには収賄疑惑など、これらはすべて自民党が政権与党であることが大きな原因であるのは言うまでもない。こんな品格の無い国会議員(特に自民党議員)に日本の政治を任せておいて、日本は大丈夫なのだろうか。品格の無い議員を選ぶ我々の方が問題であることは言うまでもないが、何とかならないものだろうか・・・。と書いて、またそれ以降にも自民党議員の品格の無さというよりも、驚くような悪行が発覚した。

 

それは言うまでもなく、昨年末に発覚した自民党の5派閥による政治資金規正法違反(不記載・虚偽記入)疑惑であり、特に最大派閥である安倍派(清和会)や二階派(志師会)などによる巨額の裏金づくり疑惑である。東京地検特捜部が全国から検事100名もの応援を仰ぎながら捜査し、特に悪質な安倍派の「重要人物」である幹部7人については、当然ながら逮捕・立件されるものと多くの国民は期待していたが、何と地検特捜部は「証拠不十分」として彼ら全員を不起訴処分にした。地検の説明ではその理由を「彼ら議員が会計責任者と共謀した証拠を見つけることが出来なかったため」とし、会計責任者(及び秘書)のみを立件し起訴した。これには多くの国民は怒り、「悪行」議員よりもむしろ「だらしない」検察に対して憤慨し、「検察は仕事しろ」「検察は税金泥棒」などと非難したのである。

 

それはともかく、特捜部の「厳しい」追及を逃れ、不起訴を勝ち取った「悪行議員」(安倍派幹部7人)らは、安倍派の派閥解散を決定した後に記者会見を開いた。そこで、座長の塩谷氏は「長年にわたる事務的なミスリードにより、議員の所属事務所に誤った処理をさせたことに対して幹部としておわびする。あたかも違法な支出のために裏金づくりをしたと報道されていることに対し、議員たちは心を痛めているが、決して不正な使い方をしたわけではないと思う」と述べた。

 

西村氏は「パーティー収入のキックバックは歴代会長と事務局長との間で、長年、慣行的に行われ、私たちは関与することはなかった。収支報告書に記載がないことも今回の問題が表面化するまで知らなかった」「2022年までの5年間で100万円のキックバックを受けていたが、裏金などの目的ではなかった」「私が還付や収支報告書への不記載を指示したり了承したりしたことはない。おととし8月に経済産業大臣に就任して以降、この話について幹部と話したことはない」と釈明した。

 

世耕氏は「2018年からの4年間でおよそ1540万円のキックバックを受けて政治資金収支報告書に記載していなかったが、政治資金の管理については秘書に任せきりの状況となっていた。長らく把握できなかったことについて、私の管理監督が不十分であったという指摘は否定できない。国民の皆様の政治不信を招き、関係者に多大なご迷惑をおかけしていることを心からおわびを申し上げたい」と陳謝した。

 

松野氏は「国民の政治不信を招いたことにつき、重く受け止め、深くおわびを申し上げる」「平成30年から5年間で、自身の資金管理団体において、派閥からの寄付があわせて1051万円分が不記載になっている」「ノルマを超えた還付金があれば、政治資金収支報告書に記載するなど、適正に処理されているものと認識していたが、事務所に確認したところ、派閥の事務局から『各政治団体での計上は必要なし』との教示があり、それに従ったとの報告を受けた。本来は、政治団体から政治団体への寄付として処理すべきであったと認識している」「還付金について、不正な目的や私的な目的の支出は確認されていない」とコメントした。

 

高木氏は「国民に多大な政治不信を招き多大なご迷惑とご心配をおかけし心よりおわび申し上げる。今後、できる限り速やかに収支報告書を訂正すべく関係者と相談していく。報告書の記載は適切になされていると考えていたが、結果としてこのような事態になってしまったことは猛省し、再発防止を徹底していく」とコメントした。また、安倍派が解散することになったことについて、「安倍さんにこうした事態になったこと、大変申し訳ないと思っています」と語った。

 

また、「悪人7人衆」の下村氏や萩生田氏は、安倍派の解散については話すものの、裏金づくり疑惑についてはほとんど何も語っておらず、ひたすら疑惑を隠し続けている(その後、萩生田氏は裏金化していた金の使途について「国会議員、外国要人、マスコミ関係者等有識者との会合、大臣出張や政調会長としての外遊時の政務活動費」と語り、私的な利用や選挙関連の支出はなかったと語った)。

 

ともかくも地検特捜部の事情聴取に対しては彼ら「悪人7人衆」は、キックバックや裏金作りに関してはすべて「会長と会計責任者のみ」で行ったものであり、自分たちには一切話してもらえず全く関係無いと口裏を合わせて罪を逃れようとしたのである。当時の会長は細田氏と安倍氏であり、いずれも今は故人となっている。要するに「死人に口なし」であり、責任をすべて会長と会計責任者、秘書になすりつけたのである。本当にどうしようもない連中ばかりであり、国会議員として、というよりも人間として失格である。

 

なお、安倍派が解散を決定したことに対して、安倍派の高木氏が「安倍さんに大変申し訳ない」と述べ、同じく西田氏が「安倍さんの名前を汚しているわけで、非常に情けないし、申し訳ない」と述べ、西村氏が「安倍総理に対し、大変申し訳なく思っております」と話したことに対して、「先ず国民に謝れよ!」「なんでこの人安倍さんに謝ってるの?」「国民よりも派閥が大切ってことですかね?」などと批判が相次いだ。

 

さらに、世耕氏は「政治資金の管理については秘書に任せきりの状況となっていた」と、すべて秘書のせいにしたが、かつて世耕氏はツイッターに「会計システムまで構築し、収支報告時には、貴重な限られた時間を犠牲にして、担当秘書にひとつひとつ質問しながらじっくりと確認した上で書類を提出していることが、むなしくなってきます」と投稿しており、これがインターネット上で特大ブーメランとして話題になっている。そして、元大阪府知事の橋下氏は「今の時代、部下に責任を押し付ける上司は全く信用されないことを知らないのだろか」と皮肉った。

 

いずれにしても、自民党議員の品格の程度(最低)というか、国会議員失格、人間失格を見事に表す言動と言ってよい。