迷走「自民党」 | 俳句の里だより2

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派閥より党解散では

 

昨日のブログで、自民党の5派閥による政治資金規正法違反(不記載・虚偽記入)疑惑や、最大派閥の清和政策研究会による巨額の裏金づくり疑惑により、東京地検特捜部が全国から検事100名もの応援を仰ぎながら捜査したにもかかわらず、結局は会計責任者と共謀した証拠を見つけることが出来ず、多くの国民が期待した「重要人物」である安倍派幹部7人の逮捕・立件を裏切り、彼ら全員を不起訴処分にしたことを書いた。

 

そのため、役立たずの検察(東京地検)に対して「検察は仕事しろ」「悪い事をした権力者をただの一人も捕まえられないこの国の惨めさに絶望する」「東京地検特捜部って、いったい何がしたいんだろう」「仕事をしない、役立たずの検察は「税金泥棒」と言ってもよい」などと怒りや驚き、絶望感などを訴える声が相次いでおり、さらに、「派閥幹部や所属議員が不起訴となった場合でも、告発人が検察審査会に申し立てを行い、検察審査会が起訴相当と認めれば彼らを起訴することが出来るため、役立たずの検察など無視してそれに期待したい。そうなれば、ますます検察は恥の上塗りであり、存在価値がなくなるのは間違いない。」とも書いた。

 

その一方で、自民党は派閥の政治資金パーティー事件を受けて「政治刷新本部」(本部長・岸田首相)を設置し、政治資金規正法の改正や裏金作りの廃止、派閥の廃止など「政治とカネ」の問題を議論し、政治を刷新する(弊害を除き去って、全く新しいものにする)ことを目指そうと考えた。しかし、そのメンバーには、派閥会長の麻生氏、茂木氏、森山氏、さらには、あの「問題児」木原氏が幹事長に、また、裏金作り疑惑の安倍派9人が含まれるなど、とても政治刷新できるようなメンバーではなく、野党からは「裏金隠蔽本部」「アリバイ作り」、身内の自民党からは「国民に信用されるのか」など、もちろん国民からも反発と非難の声が大きい。これまでに数回会議らしきものを開催しているが、予想通り何の成果も得られていない。

 

そんな中、昨日岸田首相が自分の派閥(宏池会)を解散することを検討していると記者会見で述べると、一夜明けた今日になって、今度は二階派(志師会)が解散を決定し、続いて最大派閥の安倍派(清和会)も解散することを決定した。まさに雪崩現象が生じているが、それでも残りの麻生派・茂木派・森山派は派閥の存続を主張している。その理由として、麻生氏は「ルールを守っている派閥が、バカを見ることがないように」と述べ、茂木派は「人材育成などに必要」と話している。

 

そもそも、派閥を作るのは「政策集団として自然に生じ、人材育成に必要」との大義名分だったようだが、それも昔の話で、現在では「カネと人事」すなわち「カネの集めて首相を選び、大臣など主要ポストを得るため」の集団になっている。「政策集団」「人材育成」など遠い昔話で、自民党の独裁政治になってからは派閥により首相が選ばれ、「適材適所」など程遠く、無能な人物でも大臣になれることになってしまった。そのため、「政治とカネ」の問題(政治資金規正法、公職選挙法などの違反、贈収賄などの賄賂)が以前からはびこり、今日まで放置されてしまった。これまで何度も検察などで捜査が行われたが、ほとんどがうやむやになり、久しぶりに今回「政治資金パーティー事件(裏金作り)」ということでクローズアップされたのである。

 

しかし、東京地検特捜部による自民党派閥の捜査により、岸田首相がその重大さにようやく気付いたのか、岸田派に続き、強制捜査を受けた安倍派、二階派が派閥を解散することに決定した。これは、国民の非難と反発により、派閥の「カネと人事」のメリットが無くなってしまった、というよりもデメリットばかりになってしまったためであり、派閥解散は当然と言えば当然である。残りの麻生派・茂木派、森山派は、今のところ派閥を解散する気持ちは無いが、国民からの非難が大きくなれば、解散も恐らくは時間の問題だろう。

 

これら派閥解散の雪崩現象により、自民党内部(議員や自民党そのもの)は今大混乱で迷走状態であるが、ただ「人の噂も75日」で、彼らはしばらくはこのまま静観し、世間が忘れた頃にまた派閥を作ることも予想される。これまで自民党は幾度も「自民党の崩壊」という危機を何度もこのような「静観」で乗り切ってきたが、果して今回の危機を乗り越えることが出来るかどうかは不明である。というよりも、今回こそは国民の良識により「派閥の解散」では済まず、「自民党の解散」まで、奈落の底に落ちてしまうのではなかろうか。どちらに転ぶかは、言うまでもなく「国民の良識」にかかっており、次回の総選挙ですべてが実証されることになる。「悪い奴ほどよく眠る」など真っ平御免である。