大幅ベアもまだ物価に追い付かず | 経済あらかると

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今年のベアを反映する「所定内給与」が30年ぶりの大幅増となりましたが、それでもなお物価上昇に追い付けず、実質賃金はついに26か月連続のマイナスとなりました。

 

 厚生労働省が本日公表した5月の「毎月勤労統計」によると、名目の現金給与総額は前年比1.9%増と、増加が続いていますが、インフレ率の3.3%には遠く及ばず、実質賃金は1.4%のマイナスとなりました。

 

 このうち、ベアを反映する所定内給与は2.5%増と、30年ぶりの高い伸びとなりました。特に内訳を見ると、正規労働者は2.7%増、パートは3.3%増と、パートの所定内は実質でゼロまで回復しています。それでも給与水準が正規の3分の1  のパートの割合が0.29ポイント上昇したために、平均水準を低くし、全体の所定内の伸びを2.5%にしています。

 

 この他、所定外の伸びは2.3%増にとどまり、特別に支払われた給与が5月は前年比8.8%の減少となりました。

 

 なお、4月の実質賃金は当初0.7%のマイナスでしたが、所定内の伸びが1.8%増に下方修正されたこともあり、1.2%のマイナスと、下落幅が拡大しました。5月分も確報で下方修正のリスクはあります。

 

 ベアの実施が6月以降にずれる企業もあり、まだ所定内の伸びが高まる可能性はありますが、物価が電気ガスの補助がいったんなくなるので、6月以降の物価上昇がさらに高まる面もあり、実質賃金のプラス化は当面期待しにくくなっています。