不安、不満を呼んだ特別減税 | 経済あらかると

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 政府は6月から1人4万円の特別減税が始まると宣伝し、政府日銀もこれで消費が刺激され、景気が改善するとの見通しをしています。しかし、却ってこれが逆効果で、低所得者、年金生活者の間に不安や不満を呼んでいます。

 

 おそらく高額所得者は6月の給与と夏のボーナスで家族の分も含めた減税分が還元されるのでしょうが、低所得層、年金生活者には逆に不安が募っています。6月になって年金機構から6月以降の年金内訳が送られてきましたが、政府の言う減税分の明記はなく、前4月分の明細と6月から12月までの内訳票が表示されています。

 

 年金事務所での処理は6月支払い分から12月支払い分までの間に税金として引かれる分から控除し、それで控除しきれない分については「税務署に聞いてください」といいます。そこで税務署に電話すると「ただいま電話が大変込み合っています」で通じません。

 

 本人と配偶者、扶養の子供一人の場合、所得税分として9万円減税となりますが、1回に数千円の税金しか引かれていない人は、12月までの年金から全部控除しきれません。控除できなかった分はいつどういう形で返してもらえるのかわかりません。地方税分の1人1万円、家族分についてもどのように還元されるのかわかりません。

 

 低所得者の場合も給与の税金から家族の減税分をすべて控除されるのにどれくらいかかるのか、税金を払っていない扶養家族の「減税」がどう還元されるのかわかりません。

 

 鳴り物入りで宣伝し、政治効果を狙った減税ですが、逆に各所に大きな手間をかけ、国民にはいつどれだけ還元されるのかわからず、不公平感、不安をもたらすだけの減税措置となっています。米国はコロナ支援金として1人1400ドルの小切手を送りましたが、こういうシンプルな還付が一番受けます。年内に減税分が正しく還付されるのかわからず、毎回チェックしなければならないような減税では、これをあてに消費や貯蓄に回すこともできません。天下の愚策を絵にかいたような結果となりました。