バンプでなかった米国のインフレ | 経済あらかると

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 市場が注目した3月の米国CPI(消費者物価)は、食料、エネルギーを除いた「コア」で前月比0.4%の上昇となり、3か月連続の0.4%という大幅上昇となりました。このため、FRBのパウエル議長が年初の高いインフレは「バンプ」(凸凹)との認識を示しましたが、一時的な凸凹ではなかったことが示されました。

 

 主因はサービス価格の大幅上昇です。全体の上昇率も前月比0.4%と高かったのですが、このうち「財」は0,1%の上昇だったのに対し、サービスが0.5%の上昇となりました。サービスもこれまでは「シェルター」(帰属家賃など住居費)の上昇が主因とみられましたが、このシェルターを除いたサービスは0.8%の上昇と、さらに高いものになっています。

 

 これを象徴するのが自動車で、前年比で上昇率を比較すると、新車は0.1%下落、中古車・トラックは2.2%下落に対して、車に関するサービスでは、運輸サービスが10.7%、自動車保険が22.2%の大幅上昇となっています。

 

 この物価指標を見て市場の利下げ期待がさらに後退、CMEフェドウォッチでは6月の利下げ確率が17%、9月でも60%にとどまり、年内の利下げなしの確率は指標前は1%に達していませんでしたが、指標後には14%に高まりました。

 

 市場は金利高、ドル高、株安で反応。10年国債利回りは4.5456%に20bpも上昇、2年国債利回りは5%一歩手前まで上昇しました。ドル円は153円台に上昇しています。

 株価は指標前に先物でダウが60ドル前後の上昇でしたが、直後に300ドル下げ、市場が開いて30分でダウは500ドル以上の下げに、ナスダック、S&Pも1%以上下落しました。最後にはやや下げ幅を縮小、ダウは422ドル安、ナスダックは136ポイント、S&Pは49ポイント安で終わりました。

 

  円は介入警戒感はありましたが153円台前半まで円安が進みました。投機というよりも、ドル高と実需のドル買いが中心のため、介入で押し戻すことは難しそうです。