企業最高益と実質賃金21か月連続減少 | 経済あらかると

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 法人企業統計で、企業が過去最高益を出す一方で、労働者の実質賃金は昨年12月まで21か月連続の減少となりました。企業がもうかっている割に、冬のボーナスも悲しいものでした。業績好調企業と悲しい労働者の明暗が顕著になっています。

 

 厚生労働省が本日公表した12月の「毎月勤労統計」によると、名目の現金給与総額は前年比1.0%の低い伸びとなりました。所定内給与は1.6%増となっていますが、所定外(残業代)が0.7%減となり、特別に支払われた給与(ボーナス)も0.5%増にとどまったためです。

 

 冬のボーナスの最終結果は11月や1月分も考慮して後に公表されますが、11月のボーナスが3.9%減だったことを合わせて考えると、1月支給企業がよほど増やさないと、冬のボーナスは業績好調の割に「しょぼい」ものとなります。

 

 7-9月の法人企業統計でも、企業の経常利益は前年比20.1%増となり、最高益を更新していますが、当期の人件費は1人当たりで2.7%増にとどまりました。利益を労働者に還元せず、「利益剰余金(内部留保)」に568兆円も積み上げている姿が示されていました。企業は政府の賃上げ促進減税(7%以上の賃上げした企業には大企業で最大35%法人税を控除)を狙って賃上げに前向きですが、ここまでは人件費抑制姿勢を続けています。

 

 労働者に冷たい企業は、株主に褒められても、いずれ労働者が逃げ出し、人手不足倒産に陥るリスクを抱えています。