今や雇用統計以上に注目されるようになった米国CPI(消費者物価)ですが、昨日は12月分が全体で前月比0.1%下落、前年比6.5%の上昇、食料・エネルギーを除いたコアが前月比0.3%、前年比5.7%の上昇と、いずれも市場の予想通りの結果となり、インフレの鈍化を確認、市場は債券、株ともに買い上げました。
もっとも、指標が出た瞬間は逆の反応でした。長期金利は事前にやや下げていましたが、指標発表で前日水準まで急反発、株の先物も一瞬下げました。しかし、予想通りとはいえ、インフレが落ち着いた数字となったので、次の瞬間、株にも債券にも買いが入り、金利が低下、株の先物も急反発しました。
もっとも、数字の割に市場は不安定な動きを見せ、株先物はプラスとマイナス圏を行ったり来たりで、1時間後に市場が開くと買いが優勢となり、最終的にダウが217ドル高、ナスダックが69ポイント高となり、10年国債利回りは3.4437%まで低下しました。これを受けてドル円は一時128円台まで下げました。
全体の物価は予想通りでしたが、帰属家賃は前月比0.8%上昇、サービスコアは0.5%上昇しています。半面、モノの下げが目立ち、ガソリンが9.4%下落したほか、中古車・トラックが2.5%下落と、6か月連続の下落となり、コアのモノは0.3%の下落で、これは3か月連続の下落となりました。
資源価格の下落があるにせよ、労働市場がタイトななかで、物価の下げがあまりに順調すぎるとの思いも一部にはあります。10-12月も成長率が高く、労働市場のタイトな状況が続けば、物価の沈静にも限度があり、金融引き締めの手綱がすぐに緩むとも見えず、積極的な株の買い上げには躊躇が見られました。