円安でも稼げない輸出 | 経済あらかると

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 財務省は本日、8月の貿易統計の結果を公表しました。8月は1ドル135円で、前年より約23%円安になっていますが、資源輸入の増加を輸出はカバーできず、貿易赤字は季節調整後で年率28兆円規模に拡大しました。

 

 円安が続き、金額ベースの貿易額はその分水膨れしています。輸出額は前年比22.1%増ですが、数量ベースでは前年比1.2%減と、今年になって2月を除くと全て前年割れの状況が続いています。その中には部品の供給制約で自動車輸出が減っていた時期もありますが、8月は自動車輸出は39.3%増まで回復しています。それでも全体としてみると数量ベースで輸出の減少が続いています。

 

 数量ベースの輸出の伸びを地域別にみると、対米輸出が前年比10.5%増となったほかは減少していて、対EUで1.5%減、中国向けは9.0%減となっています。

 

 一方輸入は前月比1.5%増、前年比49.9%増と、引き続き高い増加を続けています。特に原粗油が90.2%増、石炭が3.4倍、LNGが2.4倍となっています。9月になって原油価格が少し下落しましたが、反面為替が一段と円安になっているので、輸入の増勢は9月も強そうで、貿易赤字縮小は見込めません。

 

 GDPの外需を見るために、日銀の実質輸出入をみると、実質輸出は8月が前月比0.6%減、7-8月の4-6月比は2.7%増。

 実質輸入は8月が前月比1.5%増、7-8月は4-6月比2.8%増となります。7-8月でみる限り、3Qの外需はGDPに対する成長寄与がほぼゼロとなります。訪日外国客がインバウンド消費を増やしてくれれば、サービス輸出がこれを補う面はあります。