短観に景気ピークアウト感 | 経済あらかると

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 日銀短観の3月調査の結果が出ました。企業の業況判断は製造、非製造とも低下し、6月も続落予想で、景気にピークアウト感が出てきました。福島沖地震などで自動車などが生産を停止した面もありますが、6月もさらに低下見込みで、一時的な低下ではなさそうです。

 

 製造業大企業の業況判断は昨年12月の17から3月は14、6月は9へと低下する見込みです。自動車が12月のマイナス8から3月にはマイナス15に悪化したことが3月全体の低下に影響しましたが、自動車は6月にマイナス1に改善を見込んでいますが、全体は3月からさらに低下を予想しています。ウクライナ戦争でコスト高、輸出入の制約、コスト高などが企業収益を圧迫し、景気を圧迫する形になっています。

 

 非製造業では小売りが中小企業を中心に低迷を続け、宿泊・飲食はコロナの感染拡大で3月にまた悪化し、6月も低迷が続く見込みとなっています。

 

 企業の価格判断は、仕入れ価格が一段と上昇する中で、販売価格も引き上げる企業が増えていますが、まだコスト高を吸収しきれず、経常利益は21年度に2桁増益となった後、22年度は製造業が2.8%、非製造が0.9%減益を予想しています。ウクライナ戦争、コスト高、コロナ感染が重なって重しとなっています。

 

 設備投資についても、大企業全産業では、21年度の5.9%増から22年度は2.2%増と、やや慎重になっています。

 

 企業の物価見通しでは、自社の販売価格予想では1年後が2.1%、3年後が2.7%、5年後が3.2%上昇と、3か月前の予想がそれぞれ1.2%、1.7%、2.3%だったところからはっきりと上昇しています。価格引き上げ意欲が伺えます。

 

 その一方で全体の物価予想では1年後が1.8%、3年後が1.6%、5年後が1.6%と、3か月前の調査ではそれぞれ1.1%、1.3%、1.4%だったところから引き上げられましたが、自社の販売価格に比べ、全体のインフレ進行には慎重な見方をしています。