政府と日銀の間に物価認識ギャップ | 経済あらかると

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 岸田総理は本日、ウクライナ危機を受けた物価高騰への対策策定を指示し、29日にも関係閣僚会議を開くと述べました。ガソリンや電気代などのエネルギー価格の高騰に、小麦など穀物価格の高騰が食料品へ転嫁される可能性を受けたものです。財政資金を利用して、コスト高分を支援し、最終価格への波及を抑えたい意向と見られます。

 

 一方で日銀は本日、1月に開催された決定会合の議事要旨を公表しました。1月の展望リポートではインフレ予想を引き上げ、物価に対する「下振れリスクのほうが大きい」との認識を外しましたが、基本認識は引き続きデフレ脱却で、2%の物価目標を安定的に達成するまでは、金融緩和を持続することを、誤解なきよう、情報発信に努めるとしています。

 

 そしてCPIが仮に上昇しても、マイナス傾向のGDPデフレーターにも注目して緩和を続ける意向も示されました。日銀は何としても物価を上げたいようで、円安はプラスとして金融緩和の継続を正当化しています。

 

 しかし、ここへきて政府と日銀の物価に対する認識、為替円安に対する認識に明らかなキャップが見られます。政府が物価高対策を講じようとしている時に、インフレを押し上げる緩和を続ける日銀とどう折り合いをつけるのでしょうか。混乱を回避するためにも、政府日銀で物価の認識をよく議論してほしいと思います。