総務省は本日、今年1月の全国消費者物価(CPI)の結果を公表しました。ここには政治的な要素がかく乱要因になっています。
前年比でみた上昇率は、全体が0.5%、生鮮食品を除いた「コア」が0.2%の上昇、さらにエネルギーも除いた「コアコア」が1.1%下落と、前月からいずれも0.3ポイント程度低下しました。その主因は、「Go To」の終了で前年比で押し上げられていた宿泊費の上昇が剥落したことで、全体を0.28%押し下げたことによります。これを除くと、ほぼ前月と同様の上昇率となります。
実際、季節調整後の前月比でみると、全体が0.1%上昇、コアがゼロ、コアコアは0.1%の上昇となっていて、直近3か月の動きを年率換算すると、全体が2.0%、コアが1.6%、コアコアが0.8%の上昇となっています。今後値上げの予定が目白押しなので、これが次第に高まると見られます。
1月の前年比変化の内訳をみると、生鮮食品が6.5%上昇して0.26%押し上げ、エネルギーは17.9%上昇して全体を1.23%押し上げている一方、通信費は34.0%下落して全体を1.51%押し下げています。生鮮食品以外の食品も1.3%上昇して全体を0.28%押し上げるようになっています。一般食品の上昇が徐々に高まっています。
賃金や消費の実質値を計算する際に使われる実態的なインフレ率「帰属家賃を除く総合」は0.6%上昇し、前月の0.9%からやや緩和されました。日銀はかつて物価水準は通貨供給量で決まり、個別品目の値下げをしても相対価格が変わるだけで、全体の物価水準には影響しないと主張していました。しかし、このところの動きは、「Go To」であれ通信費であれ、政治的に価格を操作した分がそのまま物価上昇率に影響しています。量的コントロールによる物価安定策には限界があることを示しました。