強まる米国市場でのリスク・オフ | 経済あらかると

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 米国市場でリスク・オフの動きが強まっています。株式市場ではダウが6日連続の下げを見せ、昨日も450ドル安となり、ナスダックは最高値から14%以上下げて「調整局面」に入っています。ボラティリティも上昇し、「恐怖指数」ともいわれるVIX指数は昨日一時30まで上昇しました。

 

 基本的にはFRBが市場の想定以上に速いスピードで引き締め転換するとの思惑が広がり、長期金利が上昇。10年国債利回りは19日に一時1.902%まで上昇しました。この金利上昇を受けてドル指数は先週一週間で0.5%上昇しましたが、ドル円は0.5%下げています。それだけリスク・オフの動きが安全通貨円の買いを誘い、1.9%台をつけた安全資産米国債に買いが入りました。10年国債利回りは昨日、一時1.72%台まで下げる場面がありました。

 

 市場はすでに3月の利上げを100%織り込んでいますが、一部には50bp利上げを見る向きもあります。かつてFRB議長時代にはハト派の典型とみられたイエレン現財務長官が、政権はFRBと連携してインフレ抑制に全力を尽くすとの姿勢を見せ、市場が想定する以上に政府のインフレ抑制姿勢が強く、これがFRBにも影響すると見られています。

 

 この他でも、バイデン政権が身内の民主党内からも歳出法案に反対するマンチン議員など、「造反者」が出て政策運営が制限されるとの懸念が強まり、秋の中間選挙では民主党が議席を減らし、大統領がますます苦しくなる、との見方も強まっています。

 

 そして昨日は動画配信サービスのネットフリックス株が21%余りも急落するなど、巣籠需要の剥落、決算の失望で下げる銘柄も増えています。アトランタ連銀の「GDPナウ」は昨年4QのGDPを年率5.1%と推計していますが、オミクロン株の広がりもあって、需要の伸び悩み、医療関係者、エッセンシャルワーカーの感染でサービスの提供が減るなどのマイナス面も見られます。昨日の朝方はダウがプラス転換する場面もありましたが、最後は450ドル下げになるなど、地合いの弱さを感じさせます。