エネルギー中心のインフレと安心できない | 経済あらかると

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 総務省が本日発表した昨年12月の全国消費者物価(CPI)は、全体が0.8%の上昇と、11月の0.6%から加速。ここから生鮮食品を除いた「コア」は前年比0.5%の上昇と、11月と変わりませんでした。当局はこのうち1.12%はエネルギーによる物価押し上げで、これを除けば「コアコア」は前年比0.7%のマイナスと言い、基調としてみればインフレは心配ないといいます。

 

 日銀も、物価押し上げの主因はエネルギーで、これは前年比でいずれ弱まると見ていますが、ここまではその兆しも見えません。原油価格が12月に一時下落したため、ガソリンも12月にやや下げましたが、それでもエネルギー全体の物価押し上げは、11月の1.07%から12月は1.12%に高まり、さらに今年1月には原油とともにガソリンもまた上昇しています。原油高の影響は遅れてでてきますが、原油自体がまだ上昇しています。

 

 今回のCPI統計でも、ガソリンの物価押し上げ0.40%よりも、電気代の0.43%、ガス代の0.12%などがじわりと強まっています。これらのコストは、今後様様々な分野に波及し、電力、輸送費コスト高分を製品価格に転嫁する動きが予想されています。生鮮品以外の一般食品も、12月は前年比1.1%の上昇ですが、これが1月以降高まりそうです。

 

 なお通信費の押し下げ分は12月に1.53%あり、これを除くと、全体の物価は2.3%、コアでも2.0%、エネルギーを除いても0.8%の上昇と、ジワリと高まっています。なお、実質値の計算に用いられる実態的なインフレ率「帰属家賃を除く総合」は11月の0.7%から12月は0.9%に高まっています。これも実質賃金、実質消費を圧迫する形になります。