侮れないオミクロン感染急増の影響 | 経済あらかると

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 オミクロン株が世界で、そして日本でも急拡大していますが、昨年夏の「第5波」当時に比べると危機感が乏しく、政府も冷静な対応をとるといっています。確かに感染者の急増の割に、重症者数や死者の数は少なくなっています。しかし、この感染者急増自体がすでに様々な影響を持ち始めています。

 

 政府は25日にも「蔓延防止等特別措置」の適用対象を増やす方針と言い、その場合29都道府県が規制対象となり、飲食店経営やイベント開催での観客動員が影響を受けます。これまでの自粛などで体力が低下している飲食店には、この追加規制は重くのしかかります。

 

 飲食店だけではありません。すでに医療機関の関係者の間でも感染者が増えていて、医療体制に制約が出ているところが少なくありません。入院しても家族の見舞いも受け入れられず、通常医療が制限され、コロナ向けにシフトされるところも出ています。

 

 介護老人施設では入居者と家族の直接面会はまたできなくなりましたが、職員の感染で介護施設の運営が制限されたり、保育園でも職員の感染で子供を預けられなくなるケースが増えています。その分親の負担が増え、子供を見るために仕事をあきらめる人が増えています。

 

 公共交通機関でも感染した職員の代替要員確保が急務となり、これ以上感染職員が増えると、地下鉄やバスの運行を減らさざるを得なくなるといいます。海外では政府機関のサービス縮小も起きています。日本でもこのところの感染急増から見ると、いずれサービス提供体制が維持できなくなり、供給面から経済が収縮する事態も無視できなくなりました。

 

 オミクロン株は重症化しにくいと高をくくってはいられません。感染者の急増自体が経済の機能を阻害し始めています。一部の自治体は無料で抗原検査キットを配布していますが、陽性と判明した人へのフォロー体制が必要です。都知事は「社会を止めない」て言いますが、すでに一部で社会機能が止まりかけています。拡大ペースが速いだけに、政府自治体の対応も急がれます。