FRBは出口論を封印 | 経済あらかると

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 米国版「金融政策決定会合」ともいうべきFOMCが終わりました。短い声明文には、コロナパンデミックがこのところの経済に重くのしかかっていて、米国も世界も人的、経済的苦難を強いられていると述べています。

 

 米国経済についてもここ数か月、経済活動、雇用の回復ペースが鈍化していて、パンデミックの悪影響を最も強く受けている業種が特にぜい弱だ、としています。

 

 今後の経済の道筋は、ワクチン接種の進展も含め、ウイルスの行方に著しく左右される。現在の公衆衛生危機は引き続き経済雇用、インフレに大きな重しとなり、経済見通しに著しいリスクをもたらしている、と評価。

 

 現在の金融緩和は2%インフレが確認できるまで続け、月800億ドルの国債保有、月400億ドルのMBSの保有も物価雇用目標に向けて著しい進展が見えるまで続ける、と従来の姿勢を確認しました。

 

 一部の地区連銀総裁から、今年後半には景気対策とワクチンの普及で「目覚ましい回復」が予想され、資産買い入れの見直しも指摘され、市場には「テーバリング」の言葉が聞かれるようになりました。今回、パウエル議長は会見でこれを「時期尚早」と否定、むしろ声明文の中に、「もし目標達成を妨げる可能性のあるリスクが生じた場合、委員会は金融政策の姿勢を適切に調整する準備がある」と書き込み、3月以降の追加緩和の可能性に道を開きました。

 

 もっとも、市場はFRBの弱気な景気判断をみてむしろ株売りで反応、債券市場は国債の買いを進めました。そして安全通貨のドルを買い上げました。