総務省は27日、9月の全国消費者物価と10月の東京都区部の消費者物価を発表しました。その結果は、日銀、消費者ともに嬉しくない内容となっています。
まず9月の全国版ですが、前年比上昇率は全体で0.7%、生鮮食品を除いたコアも0.7%、これからエネルギーも除いたコアコアが0.2%の上昇と、前月と変わりませんでした。季節調整後の前月比では、今回はすべてでゼロとなり、インフレ率の上昇が加速あるいは、維持する証拠も見られません。日銀には不安を残す内容です。
一方、消費者から見ると、数字以上に「物価高」を意識するもので、生活の圧迫感が強く、しかも税のようになかなか逃れられない物価上昇となっています。
例えば、全体の上昇率は0.7%ですが、ここには「持家世帯の帰属家賃」という実態のない費目があり、これが0.2%押し下げています。従って、これを除いた現実の物価上昇率は0.9%となります。賃金や消費の実質値を計算する場合は、この0.9%が使われます。
さらに、この物価上昇の寄与度をみると、電気ガス代やガソリンなど、エネルギー価格の上昇で0.52%、生鮮食品を除いた食料品が0.22%で、両者で0.74%も押し上げています。これらは値段が上がったからと言って、電気もガスも使わないわけにはいかず、食料品も必要です。消費者には、なかば増税のようなものです。
例えば、電気代が7.9%、ガス代が7.6%、灯油が21.1%、ガソリンが7.1%
、病院の診療代3.5%などと、身近で、しかも価格上昇を理由に回避するのも難しい費目が中心です。それだけ消費者には物価上昇感が強く、その分を他の小遣いや外食、レジャ゛ーなどの抑制で穴埋めする「影響」が懸念されるものです。つまり、これは消費を抑制させやすい内容となっています。
ちなみに、10月の東京都区部では、生鮮野菜が安くなったため、全体が0.2%の下落、コアが0.6%、コアコアが0.1%の上昇となっています。天候不順で高騰していた生鮮野菜が一服したぶん、懐には少し優しい風が吹いています。