朗読「銭形平次」は
「正月の香り」、解説&雑談 最終回です。
「どうです、御隱居、私はもう歸りますよ。
若主人御夫婦の繩を解かせなきやなりません」
ではでは、最終回の今回は
「正月の香り」の 地理的な話をひとつ。
①神田明神 かんだみょうじん
②神田佐久間町 かんださくまちょう
③新し橋 あたらしばし
④向柳原 むこうやなぎわら
⑤本所相生町 ほんじょあいおいちょう
⑥本銀町 ほんしろがねちょう
で、②③④あたりを 拡大したのが、
上の、2枚目の地図ですね。
直接 取材に行けたらいいのですが
最近はなかなか「巡る旅」も困難なので、
過去に廻ったときに撮った写真などから
現場に近いのを載せときましょう。
①神田明神は、平次の家の近く。
平次の家は、神田明神下御台所町。
②の佐久間町 が、
忠左衛門の丹波屋がある場所。
材木問屋の多いところで火事も多かったから、
「あくまちょう」とも 呼ばれていたとか。
拡大図の方で見ると、
グレーのところが 町人地、
白いところが 武家屋敷 なので、
佐久間町は 武家屋敷の周りにあるような
ロケーションなのですかね。
現在の 和泉橋。
なので、対岸に見えるあたりが 佐久間町。
のときに通りました。
③ が 忠右衛門が修理を一手に担ったという
新し橋ですね。
今は、美倉橋 という橋になっているよう…
神田川にかかる橋で、
左衛門橋と和泉橋の間にある橋。
和泉橋 → 美倉橋(新し橋) →の次の 左衛門橋。
左衛門橋の写真はあったのですけれど…
美倉橋の写真は なかった! 残念。
④が 向柳原…
八五郎が住んでるところです。
⑤ 本所相生町、
忠左衛門の妾のお国の実家があるところ。
両国の、回向院のある辺り。
「身投げする女を巡る旅」の 動画には
映ってるんですが…
ブログの方には回向院の写真は載せてないな…
ブログだと、勝海舟生誕の地・両国公園や吉良邸跡が
この近くです。
⑥ 本銀町、
お初が嫁入りする予定の 伊勢屋がある場所。
今の、JR神田駅近く。
今も日本橋三越(当時の越後屋)があったり
日本銀行本店があったり、
当時から 越後屋、十軒店など
流行りのお店の並ぶところも近い場所、
おそらく 相当 いい家に
嫁入りするはずだったんでしょうね。
日本銀行本店。かっこいい。
つまり、江戸時代に「金座」があった場所。
江戸時代には この辺りに龍閑橋というのがあったそうで
(今はないのですが)
たまたま この近くを通ったときに撮った
龍閑橋の名残(親柱) の写真があった!
2枚目の地図の参考にした
江戸の切絵図、載せときます。
尾張屋版 江戸切絵図 東都下谷絵図。
こちらは全体図。
これは 右側が北なので…
私が描いた絵は、この左の端っこを
左に90°回転させた感じの 拡大図。
さてさて、
ではまた 多少 ネタバレ
になりますが…
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「正月の香り」 とは
つまり、宗吉に良心を取り戻させた
「どんど焼き」 の匂い だったんですね。
匂い、というのは
他の感覚(視覚とか聴覚とか)と違って、
直接的…
直接 本能や記憶や感情を司る脳の部分に
伝わるとかなんとかいう話を
聞いたことがあるような気がするのですが、
宗吉が どんど焼きの匂いで
幼い頃の記憶がよみがえり、
良心を取り戻すって
なんか、すごく わかるような気がしますね。
ではでは、 これにて
「正月の香り」は終了です。
今回も お付き合いいただき
ありがとうございます。
ご視聴ありがとうございました!
【(六)(七)の語句解説など】
(七)
【経師屋】 きょうじや
巻物、掛物、和本、屛風、
ふすまなどの表装をする職人。
【亥刻半】 よつはん
夜11時頃 。
江戸時代の時刻の詳しい解説はこちら