枚方コーリング -2ページ目

枚方レッツゴー3匹 3回目

更新が1年近く滞ってしまいました。

たいへん申し訳ない。読んでいただいていた方はもうすでにこのブログ小説も忘れてしまい。更新されることは無いのだろうと思ってはずです。

しかし、更新します。もうすでに誰も待ってはいないかもいれませんが

お待たせしました!

2話目読んでから読んだほういいね。これから読む方は。

では3話目、始めたいと思います。




枚方

レッツゴー3匹 3回目「ソースかつ丼」

オレは約束の時間に15分ほど送れてセブンイレブンに着いた。

もうすでにSRとカタナが停まっていた。コンビ二のウインドーの前に二匹が腰を下ろして地図をめくっている。

「ういーっす!」と二匹に声をかけてオレはコンビ二に入って缶コーヒーとタバコを買って二匹の横に座った。

二匹ともあまり浮かない顔をしている。

朝早いから眠いんだろなと思って、地図とにらめっこしてる2匹を黙って眺めていた。

おもむろにケンゴが

「そのさ・・・あるんだよ。あるんやけどね。海と山が同時にドッカーンとくる場所がさ。その名も海山公園ってのが・・・。和歌山にね。」

「おー! バッチシやん! 行こ行こー!」

とオレが乗り出した。

カズキが静かに黙っているので奴の顔を見るとボガード顔になっていた。

嫌な予感がした・・・。




「でも 降られますね確実に・・・。」

とボガード顔のカズキがボソッと言った。

「え?どういうこと?」

「今携帯で天気予報調べたけど太平洋側、特に和歌山にデッカイ低気圧が近づいており夕方には大雨になるとの予報です。」

とボガード顔のまま冷静にカズキが答えた。

「あー!なるほどなー! っつーことはあれだな!オレたちがテント張る場所を見つける頃合いには海と山と合わせて同時に雨までがドッカーン!と来るわけだ!



・・・・・

           

・・それは嫌だ・・・」

とオレ。急にテンション落ちてきた。

うなだれて缶コーヒーのプルリングを外すオレ。


「で・・・どうしようかと思案中」

とボガードカズキ。

3匹は話し合い、結果として福井県の海岸を目指すこととなった。しかし、オレは嫌がった。なんせこの3匹で何度行ったかわからない。何度も行っているがゆえ記憶が重複して印象も薄れているぐらいだ・・・。

ただ福井の海岸はひとつ間違えると工作員と戦わなければならないはめになるという緊張感だけはちょっとドキドキする。ハングル文字の漂流物がいっぱいあるし。原発もあるし・・・。




昨年は良かった。和歌山の海岸でキャンプした。夜に裸(全裸ではありません。パンツもしくはジーンズは履いてました。絶対に。)になってバイクで走ったりした。なぜそういうことになったかは憶えてないが(オレが提案して2匹にオレがじゃんけんで勝ったら実行するぜ!とオレが言ってた記憶はある)やってしまったのはしょうがない。裸で走って単車で立ち寄ったコンビニで裸の3匹の変な男たちがコンビニで買ったアイスを食ってるのを遠くからパトカーが見張っていた。


オレとケンゴはパトカーに「何でもありませんよー!善良な枚方市民ですよー!なにか文句ありますかー?」と確実に☆っぱってるのにもかかわらずお友だちになろうと近づくとパトカーは何故か静かに去っていった。


きっとかかわりたくなかったんだろうな。めんどくさそうなやつ等だって感じで遅番も終わるし勤務終了!って感じで家に帰ったんだろうな。平和なポリやわ!感心感心。




たしかオレは次の日、枚方に帰るには午前中には出発しなければいけないゆえ朝の早よから泳ぎまくった。実は前々日より風邪をひいて発熱してるのにバカなオレは気づかずにいたのだ。

出発前夜も「なんか体の節々が痛てえなー なんかダルイなー」ぐらいは思ってたがテンションが上がってるゆえに風邪ひいてることに気づく暇が無かったようだ。おかげでツーリングから帰ってからビックリするぐらい寝込んだっけ・・・。日焼けの熱と風邪の40度近い発熱で全く動けなかったのだ。

オレは過去に数回同じ経験をしている。これは自慢だ。

一泊二日で行く距離で海があって・・・となるといつもたいてい福井になる。これで何回目になるんだろう・・・。


福井に行く場合はカズキが絶対にソースカツ丼の聖地「ヨーロッパ軒」に行きたがる。

絶対に行くことになる。何があっても行くことになるし、食うことになる。



嫌がることは許されないのだ。

カズキがいる以上、食い物に関することについては絶対服従なのだ。怒っても無理。

前に行った時はヨーロッパ軒とラーメン屋を同日の昼にはしごするはめになった。

あれはさすがにしんどかった。

でラーメンそんなに旨くなかったし。

カズキはそんなことを思い出しているオレの横でタバコをふかしながら地図をボガード顔で睨んでいたが急に




「まずはヨーロッパ軒でソースカツ丼ですかね!」

と急に青空を見上げながら頬を緩ませてのたまった。




やっぱりな・・・。




なんかめんどくせえけどオレたちらしくてコレもありかなと。

オレは気持ちを切り替えることにした。



「まーいいじゃねーか福井! 海があるぜ!海に行くと大好物のサザエが食えるぜ!とりあえずよー!せっかくだし海鮮BBQで行こうぜー!今回オレは絶対サザエを食う!ぜってえ食う!海が無くても食う!工作員と戦っても食う!」

という 

オレの必要以上にでっかい声での宣言を2匹は苦笑いで見つめている。

この時期、この夏まっさかりの季節、レジャーで賑わう海にそう簡単にサザエが転がっているわけがない。

みんな捕られちまってるよという含みが二匹の苦笑いに感じ取れる。

そんなことはわかっている。


サザエを食う!と決めた以上は食うのだ!

根拠はないが「サザエを食うぞ!」と決めるとなぜかなんとかサザエに出会えるはずと強く思えるのだ。

3匹はそれぞれの単車に跨り、地図を持っているカズキの刀を先頭に走りだした。向かうは福井! 昼飯はヨーロッパ軒・・・


まずはヨーロッパ軒・・・。


3匹の単車の排気音は307号線から第2京阪道路に乗り、大津から朽木までノンストップでカッとんでいった。













枚方コーリング番外編が続いてますが

佐藤と浅田の話もぼちぼち再開します!なんとこのバカ2人がバンド結成に至る話です。本当にバカです。乞うご期待!




枚方レッツゴー三匹の単車物語    2回目



      空見の丘公園からの夜景







カズキが乗ってるバイクは刀。


Suzuki GSX1100である。名車なのだ。


もう数年前になるのかな~、オレの家にカズキから電話があった。


びっくりするぐらい低く、力の無い声で


「ひとっさん… バイクが… バイクが… 無いっすわ どこ探しても…」


混乱している。

そして盗まれたという現実を前にして途方に暮れている。



警察に届出を出し、しばらくカズキの家近隣を探し回ったが出てこなかった。


リッターバイクの盗難… 。ハンドルキーはしっかりかけていた。プロの仕業か…。



その後、カズキは新しい単車に乗らなかった。


この事件の前にケンゴも同じようにSRを失っていた。
ケンゴの場合は盗難ではなく、メインケーブルを何者かに切断されるという悲惨な目にあった。

忌まわしい出来事やった。

結局、そのSRは致命的なダメージにより廃車となってしまった。




しばらく3匹が遊ぶ時は車ででかけることが多かった。それはそれで楽しかった。

海に行くことが多かった。


だいたいは深夜3時ぐらいに出発して日本海側へ。


途中の山道でオレが稲川淳二の物まね(しっかり何話か怪談話が出来るのだ)したりしたなあ。


カズキが運転しててオレ助手席、ケンゴは後部座席。


基本的に稲川淳二の物まねだから笑えるところなんよね。



しかし 深夜。山道。  オレたちだけ。 



やっぱ怖い。



カズキはマジでびびってた。

ケンゴは別にどってこと無い感じ。


オレはネタやってんのに話しながらびびってる始末。



そんな感じでカズキのバイク刀のこともなあんとなく、みんな忘れていた。




それからどれくらい経ったか。2年は経ってないかな。


ある日、オレん家にカズキから電話があった。

夏の気配がする爽やかな午前中。

すごくよく晴れた日だった。

たまたまその日はHACKのライブがある日でケンゴがオレん家に来てた。



電話の声は弾んでた


「今から 刀を取りに行ってくるよー!」


「えっ!えっ!どういうこと?」


「岸和田でオレの刀が見つかったんすよー!!」



オレは嬉しくてちょっと涙が出た。

ケンゴも嬉しそうに笑ってた。


それからしばらく経ってケンゴはまたSRを購入した。


オレは900ニンジャ。

またオレたちは3匹で走るようになった。











雨はしばらくして止んだ。

あっという間に空見の丘公園からの景色がクリアになる。

枚方市全景の夜景。


むちゃむちゃキレイ。




オレたちは夜景を見ながらビールを飲んだ。


カズキもケンゴもビール片手に立ったまま夜景に目をやる。


こういう時の3匹は不気味なくらい話さない。


ただ黙って夜景を眺めてビールを飲む。



春日町の祭りが再開した。
小さいけど花火が打ちあがる。

ぽんっ!ぽんっ! と小さな緑色や赤の花。


オレのテンションが上がる。


「いやーよかった!よかったよ!年に1度の夏祭りやもんな!春日町のみんなほんとよかった!」
オレを心の底から喜んだ。雨が止んでほんとよかった。


カズキはもうボガード顔ではない。
細い目をもっと細めて笑ってる。

顔は赤いぜ!酔ってるぜ!



ケンゴの眼鏡の奥の目も細くなってる。

顔は赤いぜ!酔ってるぜ!



でだいたい例のごとく会話も意味のないものとなっていく。


「キレイやわ!枚方の夜景キレイやわ!」
とか言いながらビールを飲む。


いや実際キレイなんよ。空見の丘公園からの夜景は。


会話のテーマはあるはずなのだ。



「ツーリングの行き先」。


そう、それを決めるために3人は今夜集まったはずである。



しかし、この先はオレ正直あんまり覚えてない。



まー 酔っ払ってツーリングの行き先については具体的には話せていないのだ。

いつもこんな感じだ。


カズキは次の日仕事ということで先に帰った。

オレとケンゴは公園にテントを張った。

カップラーメンを食って寝たのを憶えている。

コンビニでお湯を入れて持って帰ったカップラーメン。


ケンゴのラーメンは途中でお湯をこぼしてしまいフタを開けるとカップ焼きそばみたいになってた。
大笑いして食ったな。


しかしケンゴ…スープのないラーメンよう食ったな。

なんかお湯ほとんど無いのにスープの素を麺にかけてたような・・・。


次の日の朝。


ケンゴは憶えていた。
ツーリングの行き先。


「海と山が同時にドーンと来る所」

オレはずっとそのフレーズを繰り返していた。



で具体的にどこなんだ?



それは決まっていないとのこと。



でどうするのか。


ケンゴがそういう場所を調べることは決まっていたようだ。

和歌山あたりでなんとかなるだろうとケンゴは言う。


で集合日時と場所は

8月12日7時半にいつものセブンイレブン。


これも間違えないように気をつけよう。

山之上か津田か。


それは津田とのこと。


まあとにかく3匹は8月12日にツーリングに行くことに決まったのだ。

やった。


2,3日あとにケンゴからまさに「海と山が同時にドーンな所」だと想像する海山町なる所が和歌山の太平洋側にあるとの情報。



3匹は単車にテントと寝袋積んで海山町を目指すこととなった。









枚方レッツゴー三匹の単車物語  1回目

私 枚方コーリングの作者でありHACKというロックバンドでギターと唄をやってるオジーです。
以下は私の枚方の連れとのオートバイの旅日記。うん。私はやめてオレでいくね。
この夏中心にお話させてもらうぜ!



枚方コーリング番外編
「レッツゴー三匹の単車物語」



 あだ名。
 そう。オレのあだ名なのだがちっちゃい頃から「オジー」と呼ばれることが多い。
しかし年下や後輩からは「ひとっさん」と呼ばれることが多い。

まーどっちでもいいのだが、この物語では「ひとっさん」が馴染み深い呼ばれ方だな。
 


単車が好きだ。

オートバイ。モーターサイクル。

んで他の2匹とは付き合い長いなー。


2匹との時間にはいつもモーターサイクルがあった。
かっこえー!
んでユーモアとペーストが。



いやペーソスがね。


んでオレがどんな単車に乗ってきたかも2匹は知っている。

単車においてはかなりな浮気性なオレ。

生きている間に出来る限りたくさんの単車に乗りたいと思っている。

んで最後はハーレーの883って決めてるんだ。



えーっとここから先はオレが乗ってきた単車紹介。単車に興味ない人は飛ばしちゃってね。


最初はモンキー
ステップ2っていう枚方は茄子作り交差点にあるショップのオレと同じ苗字(しかし読み方はちゃうの)の店長に世話してもらった最初のバイク。

オレは1年半くらい乗ってたかな。その後に弟のハヤぽんが乗ってた。
そのうちヒロヒサ(オレの親父)がオレやハヤぽんに断りなしにパチンコに行くのに乗るようになった。


ある日、オレとハヤぽんはフロントフォークいがんでいることに気づく。


二人とも転倒や衝突のおぼえはない。


となるとヒロヒサだ。


ヒロヒサを問い詰めると。


申し訳なさそうに。

「ごめん。電柱に突っ込んでもうて・・」ときた。


しかし、どう操作を誤るとモンキーで電柱に突っ込めるのだろうか。


奴はその後、自分のスクーターに引きずられて両膝を思いっきり擦りむいたことがあるから、やはりありえる話なのだろう。
スクーターに引きずられたのだ。乗れよ!乗り物だろ!


しかし、ええ年こいたオッサンがスクーターに引きずられ、ズボンの両膝が破れ、出血した両膝を見て頭掻いてる姿はかなり笑えた。

オカンに気づかれないように破れたズボンを処分している姿は愛しかった。


まーそんな想い出は一台の単車にはたくさんあるので、いちいち振り返ってると物語は進まないのでこの先は出来る限りあっさり紹介したい。


次は
ヤマハのSRX400
いーバイクやったな~。この単車は一人旅が多かった。



んで
カワサキのGPZ400R
一番やんちゃな走りをしてた頃だね。かんなりイジッた。180km出たよ。伊勢道のストレートやったかな。



そして
ホンダのCB1000SF ビッグ1
乗ってた期間はほんま短かった。1年ぐらいかな。
龍神スカイラインで自爆。この単車あたりから安全に乗ることを真剣に考えるようになった。



んでCRM200
オフロードは一度は乗ってみたいと思ってた。ツーストで速いのは速い。しかし、普段走るのはオンロードでオフではない。
コーナー前で沈みすぎるフロントにイライラして…
この単車も1年の付き合いでした。



そして憧れであった
カワサキのGPZ900R ニンジャ!
ほんとこの単車は大好き。一番長く乗ったかな。
逆輸入車の赤黒。しかし、この頃からツーリングの記憶がいつも同じ景色になってきた。その理由は追ってこの物語で触れることになる。


そして現在は
ヤマハのSR400。単気筒はやっぱ特別の乗り味がある。前のオーナーがダートトラッカー風にかなりイジってるため何かとめんどくさいこともあるが仲良くやってます。

しばらくビッグバイクばっか乗ってたから小回りが利いて路面が悪いとこやダートでも安心して入れるから結構楽しい。もっといろんなところに行きたいのだが…・




 307号線をちょっと山手に入ったところに「空見の丘公園」なるものがある。枚方市が見渡せる公園で夜景がキレイ。


3匹はその公園の芝生に腰を下ろして酔っ払っていた。


ツーリング企画のためのミーティングを兼ねた飲み会である。

今まで幾度と無くこのミーティング兼飲み会は開かれてきたが、3匹のうち1匹たりとそのミーティングの内容を覚えている者はいない。

漠然とツーリングの行き先とキーワードと予定日ぐらいしか覚えていないのだ。集合時間と場所を覚えてないこともある。



1時間集合時間を間違えた奴もいる。


ケンゴである。
3匹のうち一番華奢な体つきで眼鏡野郎なのだが一番ヤクザな性格。

ファミレスにて、ドリンクバーの注文してないのに平気で水のグラスにジュースを入れてこれる奴。
乗ってる単車はオレと同じSR。この男はSRにしか乗らない。他の単車に乗ってるのを見たことがない。
オレと同じバンド「HACK」のベースを弾く。時々曲も作ったりする。




もう一匹はカズキ。
笑顔がいい。とにかく旨いもの食ってるときの笑顔がいい。子どもみたいな無邪気な笑顔。
旨いもの、ビール、おもろい時の笑顔がとにかくいい。

ヤツのお陰でオレはかなり旨い食べ物に出会う機会にめぐり合えている。
とにかくヤツは第一に食いものに鼻が利く。
たまに利きすぎて問題。


ギャル、エロ、哲学に向かう顔は怖い。かんなりのハードボイル度。ハンフリーボガード顔。見た事ねーけど。以下同種の顔はボガード顔で。


「空見の丘公園」
ここから見える景色は最高だ!
オレのアイデアで今夜ここで3匹は飲むことになった。
夜景が見える位置に座を構え
芝生に買い込んだ餃子やコロッケ、とんかつ、フランクフルト、おでんなど惣菜を並べて缶ビールを手に持ち「エイヤッ!」と乾杯。機嫌よく宴は始まった。


午後8時
夏とはいえ日は暮れて夜景がキレイなはず


しかし曇ってる。


っつーか降ってきた!!!


でもそんなの関係なく3匹はアホ面で頬を赤くさせてビールで喉を鳴らす


「今日はさ!春日町の祭り!毎年あの町は花火スゲーの!」

オレはうれしくて立ち上がって春日町のほうを見た。


しかし、町の明りは小雨でぼやけて湿やかに空気にしらけているようだ。

祭りはあるのか……・・


オレは不安になってきた。

夜空を見上げると灰色の分厚い雑巾のように雨雲がモクモクと膨れ上がり、オレたちを
「ズブズブにしたろっかー!」をニヤケ眼で見つめているようだ。


「なー 屋根あるとこ行く?」
と2匹に聞いてみる。


「だいじょぶっしょー!」
とカズキ。


「うん。降らない。だいじょぶ。っつーか降ったらアカンわ。」
とケンゴ。



オレとケンゴはキャップを被っていた。
雨足は強まり、キャップのツバから雫が落ち始めた。


カズキの髪はびしょ濡れだ。しかし、カズキは無理矢理タバコをふかし。

黙々とビールと餃子を喉に流し込んでいる。顔つきはボガード顔に近づきつつある。


「なーカズキ!ケンゴよ! けっこー降ってきたな!」


「めんどくせーなー…」
とケンゴ。缶ビール片手に頬を赤くさせて暗い空を見上げる。


「……  」
とカズキ。ボガード顔。



「コレ この状況ってさ!オレたち雨に降られているよな。確実に。そう 今後いや この後にでも雨に降られてズブ濡れ~!っつー状況よね。」


「めんどくせーなー!マジで降んのかよ!こんな時にいー!」
とケンゴ。イライラしたように缶ビールを喉に流し込み乱暴に餃子を箸でつまんだ。


「なんか… 動きたくないわ。めんどくさい。」
とカズキ。缶ビール左手、右手に箸。芝生の上でなぜか正座して、次にどの惣菜に箸を運ぶか考えている。少し酔いが回ってきたのか少し目が腫れぼったく見えた。



奴らは本気で動くのをめんどくさがっている。



土砂降りではないが雨はすでに降っているのである。傘も屋根もない芝生の上。


ただオレたちは雨に降られている。
目の前のたくさんのお惣菜。餃子やコロッケの容器の中に雨水がたまっていく。

カズキはなんのためらいもなくずぶ濡れのとんかつを口に運ぶ。


「なーカズキよ。降ってきたな。」


「あー なんか移動するの?動くのめんどくさいっすねー…」
とカズキ。現在かなりボガード顔。


「降んなよー!めんどくせー雨だな!」
とケンゴ。


「オイオイ君達。このままだとズブ濡れになるよ。」
と言おうとした瞬間に


ドッッシャー!バチバチバチバチバチー!
土砂降りです。バケツをひっくり返してます。めっさ降ってきます。




その後のめんどくさがってた2匹の動きの速いのなんの

あっと言う間に
広げた惣菜をひとまとめにして屋根のあるベンチへダッシュ。

身体は濡れたが大事な惣菜各種は死守した。

しかし、雨足は強まり、屋根の下でも油断すると大事な惣菜各種が濡れしまうほどの大雨だ。



ケンゴは空見の丘公園にテントを張り一晩過ごす気でいた。
大雨の枚方市を複雑な表情で眺めていた。

春日町の方は花火どころか町の明りも見えないくらい雨はひどくなっていった。