枚方レッツゴー三匹の単車物語    2回目 | 枚方コーリング

枚方レッツゴー三匹の単車物語    2回目



      空見の丘公園からの夜景







カズキが乗ってるバイクは刀。


Suzuki GSX1100である。名車なのだ。


もう数年前になるのかな~、オレの家にカズキから電話があった。


びっくりするぐらい低く、力の無い声で


「ひとっさん… バイクが… バイクが… 無いっすわ どこ探しても…」


混乱している。

そして盗まれたという現実を前にして途方に暮れている。



警察に届出を出し、しばらくカズキの家近隣を探し回ったが出てこなかった。


リッターバイクの盗難… 。ハンドルキーはしっかりかけていた。プロの仕業か…。



その後、カズキは新しい単車に乗らなかった。


この事件の前にケンゴも同じようにSRを失っていた。
ケンゴの場合は盗難ではなく、メインケーブルを何者かに切断されるという悲惨な目にあった。

忌まわしい出来事やった。

結局、そのSRは致命的なダメージにより廃車となってしまった。




しばらく3匹が遊ぶ時は車ででかけることが多かった。それはそれで楽しかった。

海に行くことが多かった。


だいたいは深夜3時ぐらいに出発して日本海側へ。


途中の山道でオレが稲川淳二の物まね(しっかり何話か怪談話が出来るのだ)したりしたなあ。


カズキが運転しててオレ助手席、ケンゴは後部座席。


基本的に稲川淳二の物まねだから笑えるところなんよね。



しかし 深夜。山道。  オレたちだけ。 



やっぱ怖い。



カズキはマジでびびってた。

ケンゴは別にどってこと無い感じ。


オレはネタやってんのに話しながらびびってる始末。



そんな感じでカズキのバイク刀のこともなあんとなく、みんな忘れていた。




それからどれくらい経ったか。2年は経ってないかな。


ある日、オレん家にカズキから電話があった。

夏の気配がする爽やかな午前中。

すごくよく晴れた日だった。

たまたまその日はHACKのライブがある日でケンゴがオレん家に来てた。



電話の声は弾んでた


「今から 刀を取りに行ってくるよー!」


「えっ!えっ!どういうこと?」


「岸和田でオレの刀が見つかったんすよー!!」



オレは嬉しくてちょっと涙が出た。

ケンゴも嬉しそうに笑ってた。


それからしばらく経ってケンゴはまたSRを購入した。


オレは900ニンジャ。

またオレたちは3匹で走るようになった。











雨はしばらくして止んだ。

あっという間に空見の丘公園からの景色がクリアになる。

枚方市全景の夜景。


むちゃむちゃキレイ。




オレたちは夜景を見ながらビールを飲んだ。


カズキもケンゴもビール片手に立ったまま夜景に目をやる。


こういう時の3匹は不気味なくらい話さない。


ただ黙って夜景を眺めてビールを飲む。



春日町の祭りが再開した。
小さいけど花火が打ちあがる。

ぽんっ!ぽんっ! と小さな緑色や赤の花。


オレのテンションが上がる。


「いやーよかった!よかったよ!年に1度の夏祭りやもんな!春日町のみんなほんとよかった!」
オレを心の底から喜んだ。雨が止んでほんとよかった。


カズキはもうボガード顔ではない。
細い目をもっと細めて笑ってる。

顔は赤いぜ!酔ってるぜ!



ケンゴの眼鏡の奥の目も細くなってる。

顔は赤いぜ!酔ってるぜ!



でだいたい例のごとく会話も意味のないものとなっていく。


「キレイやわ!枚方の夜景キレイやわ!」
とか言いながらビールを飲む。


いや実際キレイなんよ。空見の丘公園からの夜景は。


会話のテーマはあるはずなのだ。



「ツーリングの行き先」。


そう、それを決めるために3人は今夜集まったはずである。



しかし、この先はオレ正直あんまり覚えてない。



まー 酔っ払ってツーリングの行き先については具体的には話せていないのだ。

いつもこんな感じだ。


カズキは次の日仕事ということで先に帰った。

オレとケンゴは公園にテントを張った。

カップラーメンを食って寝たのを憶えている。

コンビニでお湯を入れて持って帰ったカップラーメン。


ケンゴのラーメンは途中でお湯をこぼしてしまいフタを開けるとカップ焼きそばみたいになってた。
大笑いして食ったな。


しかしケンゴ…スープのないラーメンよう食ったな。

なんかお湯ほとんど無いのにスープの素を麺にかけてたような・・・。


次の日の朝。


ケンゴは憶えていた。
ツーリングの行き先。


「海と山が同時にドーンと来る所」

オレはずっとそのフレーズを繰り返していた。



で具体的にどこなんだ?



それは決まっていないとのこと。



でどうするのか。


ケンゴがそういう場所を調べることは決まっていたようだ。

和歌山あたりでなんとかなるだろうとケンゴは言う。


で集合日時と場所は

8月12日7時半にいつものセブンイレブン。


これも間違えないように気をつけよう。

山之上か津田か。


それは津田とのこと。


まあとにかく3匹は8月12日にツーリングに行くことに決まったのだ。

やった。


2,3日あとにケンゴからまさに「海と山が同時にドーンな所」だと想像する海山町なる所が和歌山の太平洋側にあるとの情報。



3匹は単車にテントと寝袋積んで海山町を目指すこととなった。