328)2回目は緩やかに登れると思った発端丈山 | 峠を越えたい

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戻るより未だ見ぬ向こうへ

 海側から発端丈山に登る3ルートの内、2ルートを踏破出来たという事実だけは残りました、2回目のルートは距離が長そうなので最初のすごく急であった状況よりは緩やかになるだろうと踏んで、登り出したのでした。『伊豆』(山と高原地図、昭文社、2021)より地図を掲げます。

 これではルートが一つ足りません。次は『ぬまづハイキングMAP』(沼津観光ポータル、沼津市観光戦略課)より、

 三津(みと)中央口からの道が抜けています。まとめると①長浜口、②三津中央口、③三津北口の3つです。更に④重須口(おもすぐち)が加わりますが、この登山路は発端丈山に繋がっていないと私が間違って一目散に海岸まで戻り下って、長浜口へと登り直した時のルートであり、実際はだいぶ遠回りして益山寺を訪ねてから発端丈山に南側から登って行けると気がついたのは後の祭りでした。

 今回は内浦湾岸から舗装道路を少し登ってから山道に入る三津北口を選びました。①より幾らか遠回りに見えたので、少しはなだらかではないかと想像しました。本道から登り口を見付けて、さあと思ったところ私と同年配か少し上の方でしょうか、本道を歩いて下って来る人を認めました。道を尋ねようと思ったところ向こうから話しかけてくれます。“ここから発端丈山を目指すの?”。“はい、そうです。”。“最近は手入れしていないから草ボウボウだよ”。“道は分かりますよね”。それは大丈夫らしかったので、続けて聞きました。“長浜から登るより登山は緩やかですよね”。それは請け合ってくれたように見えました。“頑張ってね”だったか、励ましてくれてお礼を述べて、いざ開始。少し先まで粗い舗装が施されています。道がだんだん狭くなって来て、舗装のなくなるころ、狭くて急な道の始まるのを想定していませんでした。ただ前回のような大雨の翌日という悪条件ではありませんが。しかし途中道脇に張ってくれているロープを掴まないと難しいか所がありました。ロープの手助けのない、かなり急な道もあります。てっきり前回より楽だろうと思っていましたが、予測したほどは楽でないような。道に迷うことはありません。ここは尾根伝いということは、登ったり下ったりを忘れていました。それが詰り数回も繰り返すのです。道のりは長くなっても坂を緩やかにしてくれる要素は消えてしまいます。でも何とかなって安心。発端丈山頂上の景色の2回目です。

 今回は雲だらけで富士山は頭も両側稜線も見えず。前回は頭が雲に隠れていました。“頭を雲の上に出し”た富士山でなくてはいけません。

 さて下りは海側からの登りに比べれば楽さ加減は雲泥の差。登山ストックを両手に軽やかな気持ちで、と行きたいところですが、稜線を辿るには違いないのでアップダウンは心して歩きます。最初の地図の四角く囲まれた部分が裏面に載っています。

 「葛城山分岐」の見覚えある三叉路までが意外と長かったです。ここからは比較的緩やかな粗い舗装の道が始まります。途中で道路脇右急斜面を木製階段の登って行く、葛城山頂上方面とか書かれた道標を認めましたが、何故かもっと進めば緩やかに頂上及びロープウェイ終点へ行く道あり、と思い込んでいて、どんどん歩くと何故か下りに入りました。不安を抱きつつ更に下ると、ここ辺りも大雑把な舗装がされていますが、軽トラが道脇に停まっており人がいるではありませんか。蜜柑農家の方かしら。「渡りに船」状況は発端丈山登り口での如く、時々遭遇するものです。尋ねると丁寧に教えてくれました。この下り始めた道は町まで降りて行くもので、葛城山の登り口は先にはない。手前で頂上への急な上り階段をやり過ごしてきましたが、その登り道とか、ロープウェイ終点にも繋がる道なのかどうかについては分からないとのことでした。振り返るとロープウェイが斜め頭上を通って行くのを眺めて、少し安心して、急登を始めました。最早どんなに急だろうが登るしかない。若しかして頂上に達してもロープウェイ山頂駅には道の繋がっていない場合などあるかしら。また山頂駅に着いたは良いが、ロープウェイ定休日だったりして。最悪の場合は歩いて下るしかありません。

 アスレチックのための木材で組んだ運動用具類が急な道の上方に見え隠れした時はほっとしました。葛城山ロープウェイに以前やって来て、頂上で見た覚えのあるものに違いありません。疲れと不安が一気に吹き飛んだのはロープウェイが動いていることを確認できたときです。係の方に聞きました、“このロープウェイに定休日はあるんですか”。“点検修理以外の日には普通何時でもやっています”。下りの片道だけ利用する人がいるかどうかは尋ねませんでした。

 ゆったりと腰掛けて素晴らしい景色が堪能出来るよう望むのは贅沢です。

 実際は空いっぱいの雲です。片道でも相当高い運賃は富士山が仰げなくても気になりません。伊豆長岡の町までゴンドラは運んでくれます。