家の天井を難なく歩く、ヤモリは足に吸盤があったり、ベトベトした粘着性のある足だったり、の仕掛けを持っているのだろうと想像するくらいで、謎解きを進める気も起こらないでいたのは反省です。知らないと知らないままで済んでしまう日常でなくて良かったです。『化学基礎』(NHK)に学びました。分子間力が働いているためであるなんて、それこそ化学や物理の世界です。言葉の響きが良いのか、「ファンデルワールス力(分子間力)」は何とか記憶に残っています。ノーベル物理学賞を取った学者の名前ですね。分子間に働く力と足指が天井に接触したまま落ちないヤモリとどう関わっているのでしょう。先ずは分子間力の理解です。
『基礎からベスト化学ⅠB』(学研、1995)より、
これとヤモリを結びつけないといけません。その前にヤモリの足の裏を撮った貴重な写真がありました。「ニホンヤモリの凄技」(『森の中の水族館。スタッフブログ』)より、
説明が書かれています。
“…………また、足の裏に「趾下薄板(しかはくばん)」と呼ばれる器官があります。この趾下薄板の表面には1000分の1ミリサイズの毛がたくさん生えていて、この細かい毛を壁にくっつけることでツルツルなガラス面でも登ることが出来ます。”
足指表面を、番組では電子顕微鏡で拡大してくれました。
これが1000分の1mmサイズのたくさんの毛ですね。さて、例えばガラス面を簡単に上っていくヤモリの、足指のめちゃくちゃ細かい毛と、ガラス面との接触面の間で、分子間力が働いている、とは理解に苦しむので、苦しい時はCopilotです。
また、こうまとめてくれました。
“ヤモリの足裏で働くのは、分子同士に限らず“物質表面の電子雲同士”が近づいたときに生じるファンデルワールス力であり、分子間力と同じ物理法則に基づいている”。
固体表面同士のファンデルワールス力(Lifshitz理論)なるものがあって、
“Lifshitz 理論は、 「固体表面同士のファンデルワールス力を、分子のペアの和としてではなく、物質全体の電磁的性質から計算する理論」 です。1954–55 年に E. Lifshitz が量子電磁場のゆらぎを用いて導入しました”。
実際のところ全く着いて行けませんが、分子同士を引きつける力だけでなく、物の表面同士に働く力として、分子間力をファンデルワールス力に広げられそうです。もう一つ語ってくれました。
“ファンデルワールス力は「分子間」だけでなく、 固体表面・液体・ナノ構造など“物質表面同士”にも働く普遍的な量子力学的相互作用です。”
更に語ってくれたことは楽しいです。ヤモリは水中では滑ってしまう。どうしてか。
“・距離が 1 nm 程度まで近づいたときだけ強く働く
・表面同士が“乾いて”いて、直接接触していることが必要
という性質があります。
ところが水中では:
ヤモリのスパチュラと壁の間に水分子が入り込み、ナノスケールの直接接触が失われる
これが決定的な理由です”。
接触面に水が入ってしまうと致命的なんですね。
ここで疑問が一つ浮かびました。1000分の1mmの毛が密集している状況ですが、この毛の太さは1000ナノメーターもあります。いや、毛の太さは関係なくて、また毛同士の間隔でもなく、極細の無数の毛とガラス表面との距離というわけでしょう。一応、1nmの1000倍の隔たり状態でファンデルワールス力が働くか、Copilotに聞きました。
1000分の1mm(10のマイナス6乗m)では、引き合う力は全く働きません。10のマイナス9乗m=1nmで、やっと働き始めるらしいです。0.3~0.5nm位が一番良いのだそうです。途方もない近距離です。
興味に任せてこんな質問を投げかけました。“つまらない質問かもしれませんが、ヤモリはどのくらいの、自身の体重までガラス面を上れますか。足指が大きいほど体重も多くて可能ですか。また、木の板の天井板で幾分節くれ立っていたり、ザラザラのコンクリートの天井ではヤモリは落っこちてしまいますか”。
答えてくれました。
“結論:ヤモリは自分の体重の“数十倍〜100倍以上”を支える力を持ち、ガラス面なら体重の何倍でも余裕で登れます。粗い木材やザラザラのコンクリート天井でも、表面の凹凸が“70 nm より大きくなる”と急に付着力が落ち、落下する可能性があります。 (粗さ 70 nm 以下が付着の鍵と報告されています )”。
足指が大きいほど、より重い体重を支えられるそうです。また、粗い面では別の戦略を、ヤモリは用います。
“ヤモリは“粗い面ではファンデルワールス力を捨てて、爪を使った“ロッククライミング”モードに切り替える”という第二の戦略を持っています。 これは非常に巧妙で、滑らかな面=分子間力、粗い面=爪の引っ掛けという二刀流です”。
ファンデルワールス力を捨てて、という表現が面白いです。




