326)どっちへ流れようかと「水」が躊躇しそうな分水嶺 | 峠を越えたい

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 奈良県丹波市町(現・天理市)の歴史を調べていて、兵庫県丹波市も検索したところ、『丹波市』(Wiki.)に記されていた興味深い内容です。その「地理」で、分水嶺関係です。

 “丹波市は兵庫県の東部、内陸部に位置し瀬戸内海日本海のほぼ中間部の山間にある。加古川水系の最上流、由良川水系の最上流に位置し、北海道と末端部を除けば日本で一番標高が低い中央分水界がある。また子午線(東経135度線)が通る町でもある標高100m前後の盆地に、田畑が広がり、霧の出ることも多い。積雪は近年では年数回程度であるが、旧青垣町は豪雪地帯に指定されている。また面積は県下5位である”。

 直ぐさま地図を探します。『小学校総復習社会科地図帳』(帝国書院、2021)より、

 由良川水系が日本海へ下り、加古川水系が瀬戸内海に下る、その両者の源流域を探せば中央分水嶺の通り方が分ります。そこで、最初に由良川水系の流域を探ります。『由良川』(Wiki.)より、

 “京都府、滋賀県福井県の府県境にあたる丹波高地の三国岳(標高775.9m)の西に所在する杉尾峠に源を発し[2]京都大学芦生研究林から南丹市を西流。途中綾部市などを流れ、福知山市で徐々に北東へと流れを転じ、舞鶴市宮津市の境界をなして若狭湾に注ぐ。

兵庫県丹波市からの支流である黒井川の水源は同市氷上町石生にある。黒井川と加古川水系・高谷川との分水嶺は標高94.5メートルで、太平洋側と日本海側を分かつ本州中央分水嶺の最低点をなす。そこには「水分れ公園(みわかれこうえん)」が整備されている”。

 中央分水嶺の最低点の話が両水系の源流名も含めて説明されていて、大変有り難いことですが、先ずは由良川の特異な流れ方を会得します。上の地図では右端の更に右に遡らないといけません。その地図を示します。

 地図の端っこに琵琶湖が顔を出す、京都・滋賀府県境が三国岳(959m)の位置です。変ですね、杉尾峠が776mですね(ヤマレコで確認)。この山の西側から流れ出した由良川は殆ど真西に向かって下り、福知山盆地を過ぎると北方向から北東方向に流れます。と言うことはこんな風に標高が下がって行きます。由良川の支流である黒井川をGoogleマップ上で見付けます。

 図の左上が黒井川ですが、流れ始めは石生駅の直ぐ西側なんでしょうか。川上へうまく追えません。この駅は「いそう」と読みます。黒井川は大雑把には北東方向へ流れ下り、いくつかの支流と一緒になって、福知山盆地で由良川に合流します。

 加古川水系の高谷川については同定できないのですが、「水分れ公園」を東から西へ流れる川が丹波市内で加古川に合流します。この川でしょうか。矢張Googleマップを。

 その合流地点から加古川の流れは北へ遡れるので、分水嶺は「水分れ公園」から西に向かい。その後北に向きを変えることになります。加古川本流の源は何処でしょう。『加古川』(Wiki.)の「地理」より、

 “現在本流(幹川)と比定されている河流の源流は、丹波市の北西の粟鹿山(標高962m)付近に発する一の瀬川である。この河流は大名草で石風呂川と合流した後、佐治川と名を変え、篠山川合流点まではこの名で呼ばれてきた。近現代は、本流名を統一的に呼ぶことが一般的になったため、佐治川部分も加古川と呼びならわす場合が増えてきている。この区間の現地河川名表示板には「加古川(佐治川)」と記されている。………”。

 国土地理院地図にて「粟鹿山」が分りました。

 粟鹿山は丹波市と朝来市(あさごし)の境目(2点鎖線)にあります。1点鎖線は兵庫・京都府県境界です。この近辺では中央分水嶺がだいぶ北に移り、府県境に近づいています。地図に現れた「水分れ公園」(みわかれ…)にて情報が増えそうです。

 “丹波市石生地区には、本州一標高の低い中央分水界(石生交差点あたりで95.45m、分水点延長約1,250m)があり、その境界上にある道路の南に加古川水系支流の高谷川が流れており、公園はその上流にある。

 なお、公園の少し下流(西側)にある、国道175号国道176号が交わる十字路交差点は「水分れ交差点」といい、南にある国道176号の橋は「水分れ橋」である。(水分れ橋は標高101.04m)

 高谷川の公園入口付近に用水路の分岐点が設けられ、用水路側は分水界の北側へ導かれてここを起点に黒井川、竹田川土師川由良川を経て約70km先の日本海へ流れていく。また、高谷川本流は加古川を経て約70km先の瀬戸内海へ流れていく”。

 ここで粗方分りました。そこで実際の分水嶺の位置は『日本の主要な分水嶺、主要河川の分水界を描くマップ』(japonyol.net)より、

 中央分水嶺は赤い太い線、橙色の細めの線は主要分水界です。一番左の青丸が福知山線石生駅の直ぐ南の位置です。青い線は私が付けましたが、中央分水嶺から北に外れた京都・兵庫府県境界です。

 福知山線がほぼ南北に走っている石生駅を中心に北と南のそれぞれ1km地点までの線分の範囲で、国土地理院地図上にて断面図を作りました。

 真ん中が石生駅なので、南方向へ僅か登って分水嶺を越え、その後下って行く福知山線です。高谷川は分水嶺の南側です。水分れ公園をほぼ真西に下って行く川が高谷川であることを確かめました(ヤフー天気災害トップ>河川水位情報>高谷川)。「たかたにがわ」です。1200mと1250mの間にU字形に凹んでいるのが高谷川の流れのような気がしますが。