319)種の大きすぎる枇杷の実 | 峠を越えたい

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 ニュース番組にて千葉県房総半島南部におけるビワ収穫の映像が現れました。橙色が綺麗でした。ちょっと時期が早いのではと思いきや、ハウス栽培のびわで露地栽培のびわが出回るのは1,2カ月後でしょうか。びわ果実の旬は5~6月と記されていました(『ビワ』Wiki)。地図上でびわの絵を探します。『小学校総復習社会科地図帳』(帝国書院、2021)には農産物の産地が地図上に示されています。関東人にとって「房州ビワ」という響きは昔から知っています。

  その地図を。

  「房州びわ」の栽培地は南房総市(旧:安房郡富浦町)・館山市・鋸南町などです(『房州びわ』Wiki.)。そう、浮世絵の創始者のひとり、菱川師宣が鋸南町の人でした。

 「房州うちわ」と「カーネーション」も載っています。遠く離れて長崎も産地として有名です。

 長崎半島に「びわ」が描かれています。苺と蜜柑とジャガイモも見えます。確か「茂木びわ」と聞いたことがあり、実際「茂木」なる地名が地図上にあります。

 他に産地は何処でしょうか。日本地図をなめるように見て行くのは大変なので、ビワの生産量ランキングを探します。『【びわ/枇杷/ビワ】産地(都道府県)|総合ランキング』(ジャパンクロップス)には年度毎のベスト3が2006~2022年について載っています。2022年は長崎県、千葉県、鹿児島県の順です。ベスト3に入ったことのある他の県を探してみると、香川県、愛媛県が挙げられます。長崎県は30%を超え、千葉県はその半分ほどの15%内外。この両県で2022年度については50%余りとはすごいです。日本地図に目を凝らしたところ、鹿児島県、香川県、愛媛県には「びわ」の橙色は見えません。鹿児島県では栽培されている地域は“………奄美諸島から県北まで広範囲に栽培され、一つずつ袋をかけて丁寧に育てられた鹿児島のびわは、日本一早く全国の消費者へ春を告げます。”(『鹿児島県/びわ』鹿児島県公式ホームページ)。

 香川県では高松市、坂出市、善通寺市、三豊市が産地です(『果物:びわ|JA香川県-香川県農業協同組合』)。小豆島でも作っているようです。愛媛県では伊予市唐川、宇和島市平浦などが産地です。

 さてビワは種がやたら大きいのでした。品種改良は進んでいるのかどうか。果実そのものを、種はそのままの大きさで果肉を大きくするとか、種をなるべく小さくしてあわよくば果肉を太らすとか。そんなことは素人の出る幕ではない。専門家が盛んに考えています。『びわの種類一覧!どの品種が甘くて美味しいの?|フルコラ』を読みました。何と種なしビワが存在します。

 “希房は「田中」と「長崎早生」との交配によって誕生した品種で2003年に登録出願され、2006年に品種登録された千葉県のオリジナルブランドです。

びわと言えば食べるのに邪魔となってしまう大きな種が特徴でもあり、難点ともなっています。

この種の存在によって「びわの果肉を存分に味わえない」なんて方も多くいらっしゃいます。

そんな誰もが願っていた「種の無いびわ」が実現したのが希房なのです。

…………ただ希少性が高く、価格も1個で1000円近い事もあり、贈答用として重宝されている品種です。”

 「希房」1コの大きさはどの位でしょう。1000円とは大したものです。まさかスイカくらい大きくはあるまい。でもそれだけ苦心惨憺して出来たものでしょう。その他大きな果肉にすることは疾うに改良されています。種なしビワに巡り会って食してみたいです。

「希房」の写真を見ることが出来ました。『希房/きぼう<種なしびわの品種:旬の果物百科-フーズリンク>』より、

 普通の枇杷に比べて種のない分か、形が長細いです。大きさは同じようでしょうか。種の納まる部分がスカスカです。

 ビワは植物自体がかなり強く、近くの木の育ちに影響するなんて聞いたことがありますが、調べても取り立てて書かれていません。高木に育つからとか、何かあるんでしょうか。

 ここで薔薇科の草木を並べます。桜、梅、桃、苺、林檎、梨、枇杷、カリン、スモモ、アーモンド、山吹、サンザシ、ナナカマド、ハマナス、…………。薔薇科は約100属、2000余種あるそうです。どんな特徴でまとまる「科」なのか読んでも基礎知識不足です。 

 “…………なお、この科は双子葉植物の中でも大きなものの一つで、シモツケ亜科・ナシ亜科・バラ亜科、ノイラド亜科・サクラ亜科・クリソバラナ亜科の六亜科に分けられるが、それぞれ独立の科として扱う学者もある。………”(『日本国語大事典』小学館)

 ビワもナシもイチゴもサクランボもアーモンドもバラ科であること。バラ科を構成する6つの亜科を一まとめにするのは無理があると言うことか、それぞれ独立した科とする立場もあること。などをまとめてお茶を濁した形で終わります。

 果実の形が琵琶に似ているため琵琶と呼ばれるようになったとのことですが、何故使う漢字は「枇杷」と変化したのでしょう。原産国中国でもこの漢字のようです。発音部の「つくり」に共に「木」を付けて作った漢字のように見えますが。