あらすじ
人を殺め、静かに刑期を終えた妻の本当の動機とは。驚愕の結末で唸らせる表題作はじめ、交番勤務の警官や在外ビジネスマン、美しき中学生姉妹、フリーライターなどが遭遇する6つの奇妙な事件。入念に磨き上げられた流麗な文章と精緻なロジックで魅せる、ミステリ短篇集の新たな傑作誕生。
(2015年 本屋大賞 7位)
人を殺め、静かに刑期を終えた妻の本当の動機とは。驚愕の結末で唸らせる表題作はじめ、交番勤務の警官や在外ビジネスマン、美しき中学生姉妹、フリーライターなどが遭遇する6つの奇妙な事件。入念に磨き上げられた流麗な文章と精緻なロジックで魅せる、ミステリ短篇集の新たな傑作誕生。
(2015年 本屋大賞 7位)
ひと言
早川書房「ミステリが読みたい!」 文藝春秋「週刊文春ミステリーベスト10」 宝島社「このミステリーがすごい!」で2位に大差をつけての1位。史上初の「三冠」制覇。
そして 第27回山本周五郎賞も受賞、2015年 本屋大賞 7位。もう読むきゃない本。
6話とも読みやすく引き込まれてしまいます。ミステリーというよりホラー小説に近いかも。2016年の本屋大賞でも米澤 穂信さんの『王とサーカス』が6位にランクインしているのでこの本も読んでみたいと思いました。
早川書房「ミステリが読みたい!」 文藝春秋「週刊文春ミステリーベスト10」 宝島社「このミステリーがすごい!」で2位に大差をつけての1位。史上初の「三冠」制覇。
そして 第27回山本周五郎賞も受賞、2015年 本屋大賞 7位。もう読むきゃない本。
6話とも読みやすく引き込まれてしまいます。ミステリーというよりホラー小説に近いかも。2016年の本屋大賞でも米澤 穂信さんの『王とサーカス』が6位にランクインしているのでこの本も読んでみたいと思いました。
「アラムは、我々は貧しいのだと言う。外国で学んでそれを知ったのだと。確かに私らの生活は、何もかもが行き届いているわけではない。ダカに比べれば足りぬものも多いし、イギリスに比べればなおのことだろう。だが貧しさとは、豊かさを見て初めて気づくものなのか。豊かさに比べて足りぬということが貧しいのか。私らの暮らしには不幸もある。やりきれぬこともある。だが私らは、自分たちが貧しく惨めだとは思っておらん」
(万灯)
(万灯)
ばあさんが顔を近づけてくる。「それで、お兄さん、あんたです。去年の秋頃でしたか、あんたが来なさったのは」「……」「豆南町で峠の連続事故を調べている人がいることは、すぐにわかりました。小さい町です。よそからの人が来ただけで、すぐにわかります。でもお兄さんは、うちの店には来なかった。カーナビを持っているんでしょうかねえ」違う。俺は豆南町になど行ったことはない。今日初めてここに来たのだ。一年前に連続事故のことを調べていたなら、それは先輩だ。俺じゃない。そう叫ぼうとするが、声は喉の奥でくぐもるばかり。「四件の事故を結びつけて世間様に書かれては、本当に困るんです。いえ、あたしはいいんですよ。もうお迎えを待つばかりです。娘も、事情があってもひとさまを殺しだのは間違いないですから、因果が巡ってきたと思えるかもしれません。でもねえ。孫はまだ、そうはいきません。あたしはね、しょせん関守です。この店に来てもらわないことには何も出来ません。お兄さんが最初に来たときがそうでした。後で知って、気を揉むばかり。でも、ありかたいことですねえ。お兄さんはまた来てくれた。今度はあたしの話を聞いてくれた。サエノカミサンが守ってくれたんでしょうかねえ。ポケットの中の機械は、後できちんと懐します」閉じたまぶたの裏に、先輩の顔が浮かぶ。その先輩はこう言っている。だから言っただろう。よほど気をつけてかからんと危ないぞ、と。俺じゃない。このネタを調べていたのは先輩、あんたじゃないか。扇風機の唸りは聞こえない。体を起こしてもいられない。力を失って投げ出された腕が、コーヒーカップをテーブルから叩き落とす。遠く遠く、おそろしく遠くから、しわがれたような声が訥々と聞こえてくる。「ねえ、聞こえるかね。お兄さん、聞こえるかね。まだ聞こえるかね」重いまぶたを、かろうじてこじ開ける。すると目の前に、老婆の目が。笑っているような目が、俺を覗き込んで。「――それとも、もうそろそろ、聞こえんかね」
(関守)
(関守)






