◆白銀の墟 玄の月、読破しています。
You-Stying年齢不詳アドバイザー小林 由香里です。
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年末年始も同様になりますが、今年は、三が日もサロンはオープンしていますので、初詣の帰りに立ち寄りたい、などございましたらお早めにご予約をお願いいたします。
今回は小野不由美主上の最新刊「白銀の墟 玄の月」の感想ブログなので、スルーしても大丈夫。
4冊に渡る書き下ろし最新刊は、10月に1、2巻が、11月に3、4巻が同時発売されました。
1、2巻の発売日は関東には超大型台風19号が上陸した関係で、私が働いているショッピングモールトレッサ横浜も休館となりました。
元々Amazonで予約購入していたのですが、発売日には到着しないことが分かったので、必死であの台風の中、営業している本屋さんを探して、センター南? 北? にある蔦屋書店さんまでクルマを走らせ無事ゲット。
早く読みたいけど、集中して中々読めず。
寝る時は直ぐに寝墜ちするので当然進まず(笑)
出勤時、休憩時間の15分間だけ集中して読むなど、ちょこちょこ読んで、11月の3、4巻が発売する前日に2冊を読み上げました。
元々、ダンナの同僚だった、今はフリーランスのウェブデザイナーのKちゃんが同じく十二国記の大ファンなので、二人してメッセンジャーで色々感想を述べたりしていました。
3、4巻が発売して、元々1、2巻での多くの伏線がどのように繋がっていくのか、わくわくドキドキしながら読み進めていくのですが、個人的に、え、ここで終わり? と云う状態で終わりました。
前作である「黄昏の岸 暁の天」で、泰麒は、角を折られて麒麟としての治癒までは出来ぬ、と神の領域で云われて、唯の神籍に入っている人状態で終わってしまい、また唯一泰麒を守れる李斎が隻腕になってしまい、不完全の状態で終わってしまいました。
戴国は王も行方不明になり、麒麟も満身創痍状態です。
そこで前回が終わってしまいました。
小野主上は、どれだけ戴国を苦しめるのか…と読者ファンは、皆、ヤキモキしていました。
そもそも、十二国記の世界の中での設定では、戴国は北東(極東)にあり、冬は本当に寒く、王が玉座に就いていなければ、実りも悪く国民が餓死や凍死をしてしまう…と云う設定です(苦笑)
全てが解決すると思い込んでいたのですが、読者である私が想像していた以上に、遅々としか進んでいませんでした(>_<)
これからやっと新しい戴国の繁栄に繋がるであろう、と云う所で終わってしまい、正直、後、1冊分書いて頂いて、全てをハッキリ白黒つけて頂き、スッキリしたかった…と云うのが読者である私個人の意見でした。
阿選は、王と認められた驍宗とライバル関係でしたが、驍宗が王になったことが、悔しかった訳で、その気持ちに自分自身では理解していなかったように書かれていましたが、それを分かっていた驍宗の部下であった琅燦が唆して、阿選に驍宗を落とし入れ、泰麒の角を斬り、泰麒は鳴蝕(月の力を借りず、麒麟に何か危機が起きた時、自ら起こす蝕のこと)を起こして蓬莱に戻ってしまった。
そこでは麒麟だった記憶もなく、また自身の使令も病み始め、成長と共にどんどん穢瘁して行く…と云う内容が、十二国記の前に書かれた「魔性の子」になる訳ですが、魔性の子では、雁国の延王が迎えに行く所で終わっています。
ですが、「黄昏の岸 暁の天」で魔性の子の内部と云うか、どういう状況で泰麒が救出されたのか、と云うことが書かれました。
色々な国の王や麒麟の力を借りて泰麒を救出出来たのも、隻腕になり、王を身罷ったと云う汚名を濡れ衣された状態でも、なんとしてでも泰麒を、王を救わなければ、と云うその意志だけで、李斎が動いてくれたからこそ、泰麒が十二国の世界に戻り、そして最終的には驍宗が、玉座に戻ることが出来ました。
王は、国の神獣麒麟が選びます。
麒麟は基本的には金色の鬣を持つ神獣ですが、戴国の麒麟、泰麒の場合は、黒麒。
鋼色の鬣を持つ、とても珍しい麒麟です。
しかも生まれは胎果で蓬莱(日本に卵が流され、)で産まれ、延王の迎えで自国に戻ってきたものの、阿選の謀反のせいで自国にはたった半年しか居られませんでした。
その後18歳になるまでの殆どを蓬莱で過ごしている。
麒麟の中でも特殊な生きざまを背負っている。
麒麟は神獣で、本来争いや血を嫌います。
血なまぐさい戦場など、とても近寄れたものではありませんし、それにより病んでしまう場合もある。
王が失道(王としての正しい道から踏み外した状態)すると、麒麟も病んでしまう。
それぐらい慈恵深い生きものなのが麒麟。
だけど、泰麒は自分の命を引換にしてでも、驍宗を助けるために、阿選の部下を斬り、驍宗を救った。
普通の麒麟では出来ない行為。
麒麟が人を斬るなど、到底出来ません。
黒麒だから出来たのかもしれない。
唯、これにより、穢瘁が酷すぎて、一生障害を抱えて生きることになってしまった…と巻末に書かれていました。
次々と乗り越えなければならない壁と云うか山がそそり立ち、何時になったら平穏な世界になるのだろう…と読み終わった時、爽快感や幸福感よりも、不安感が残った作品でした。
この4巻では、玉座を奪い、奪ったのに、玉座を放置して、戴国の民を皆殺しにしていた状態の阿選を、絶つ所までは記載されていません。
十二国記の巻末には必ず、その物語の歴史が簡潔に記載されているのですが、そのたった一行に「阿選絶つ」ことが書かれていて、読者は初めて、やっと驍宗が玉座を取り戻し、阿選を絶つことが出来た、と云う事実を知ります。
たった一行です。
せめて、あと1巻分長くなっても良いので、阿選をどうやって絶ったのか…と云う所まで書いて欲しかった。
そして、阿選をそう背けた琅燦には全くおとがめなし、と云うのが私にはとっても解せない。
琅燦のせいで、驍宗も泰麒もこんなに苦しい状態になったと云うのに…。
驍宗と泰麒のこの二人は、幸せな時間を垣間見たことがないので、来年発売する短編集には、是非、そういう他愛のない、日常的なやり取りを書いて欲しかったのだが、そうではないようだ。
唯、今回の大長編で出てきた多くの登場人物の落ち穂拾いをした、と小野主上は仰っていたので、読者は、唯、ただ、発売を待つ限り。
私は18年ぶりの新作大長編書き下ろしだったので、これでやっと十二国記が完結すると思い込んでいたけど、どうやらそうではないようだ。
泰麒が驍宗を無事見つけ、戴国がやっと平和になって、十二国記が完結すると思い込んでいただけに、この結末は想像を遥かに超えてしまっていた。
次は何時、発表されるのか分からない状態が、またこれからも続く…。
18年は本当に長く苦しい膨大な時間だった…。
せめて、次はもう少し速く書き下ろして欲しい…と思う読者は多く居るはずだ…。
驍宗が公開処刑されそうになっているあの場に、阿選の部下を斬りつけて辿り着いて、やっとやっと、約8年という辛く長かった時間を乗り越え、王である驍宗と麒麟である泰麒が再会します。
その時、驍宗が
「蒿里か」
「大きくなったな」
の場面で、読者は皆、号泣したはずです。
この国で「蒿里」と云うのは災いを呼んだり不吉だったりする言葉なのですが、泰麒は胎果で蓬莱の生まれのため、日本では「高里 要」と云う名前でした。
たかさとをこうりと呼び、いっそ不吉だからこそ相応しい、と驍宗があざなを「蒿里」と付けたことが、前作の巻末に書かれていたのですが、その伏線がやっとここに繋がったのかーーーーーっと感極まりました。
不吉…そりゃそうだ…
人を斬る麒麟なんてドコを探してもいません。
でも、自分の主、王を救うためだからこそ出来たことであり、その結果、自身も満身創痍になっても助け出す、と云うその決断は素晴らしい。
泰麒のことは、どれだけ綴っても書き足りません。
早く二人が幸せな時間を共にし、戴国民が恙なく豊かに暮らせる日々が訪れますように…。
正直、4巻の表紙が阿選なのも解せない(爆)
2巻が阿選、4巻が驍宗ならまだ分かる…
うん…
