黒酢と黒酢の効果
黒酢は作り方により味わいや栄養成分が異なってきます。黒酢の定義から、黒酢の製造方法「通気発酵法」「静置発酵法」「伝統的な製造方法」について、詳しく解説します。

黒酢と一般的な酢との違いを、その作り方からみていきます。酢は原料だけでなく、その作り方によっても味や成分が異なります。
「黒酢」の定義
JAS規格によると黒酢とは、「米(玄米)に大麦または小麦のみを加えたもの、あるいは大麦のみを原材料としたもので、穀物酢1リットルに対して原材料が180グラム以上使用されており、発酵や熟成によって褐色または黒褐色になったもの」とあります。
黒酢は、穀物酢のうちの米黒酢あるいは大麦黒酢にあたるお酢です。黒酢が褐色なのは他のお酢に比べて圧倒的にアミノ酸含有量が多いためで、必須アミノ酸以外に酢酸などの有機酸、ビタミンB群やミネラルなど、身体に不可欠な栄養素が豊富に含まれています。
しかし、その栄養素も作り方によって含有量が異なってきます。
黒酢の製造方法
(1)通気発酵法(深部発酵法)
原料を入れたタンク内に人工的に空気を送り込んで、発酵を促す製造方法。数時間から24時間以内で効率的に大量生産できます。その反面、香りが揮散しやすいため淡白な味わいになり、含まれる栄養素は比較的少なめです。
(2)静置発酵法(表面発酵法)
発酵時に液を静置させたまま、あるいはゆっくり流動させる製造方法。黒酢の作り方として主流になっています。表面に酢酸菌膜が形成され、3か月から半年ほど時間をかけて発酵、熟成させます。香りが飛びにくく、芳醇な風味とまろやかな酸味を持ったコクのある黒酢が出来上がります。熟成によって栄養素が凝縮され、うま味が出るのです。
(3)伝統的な製造方法
鹿児島県福山町で江戸から続く伝統的な製法です。「壷酢」とも呼ばれる黒酢は、「かめ壷仕込み」という特別な方法で製造されています。一般的にお酢は金属容器で製造されますが、こちらはかめ壷を使用し屋外で製造しているのが特徴的です。
お酢の製造では(1)糖化(2)アルコール発酵(3)酢酸発酵の3過程を経ますが、かめ壷仕込みではこれら全てを一度に行えます。壷の内側には発酵を促す微生物が存在しており、黒酢の製造に重要な役割を果たしています。
原材料の質や量にもこだわり、手間ひまかけて1年以上じっくりと発酵、熟成させた黒酢は栄養素を豊富に含み、香りとうま味が凝縮された最高の味わいになります。
このように黒酢でも作り方が異なるものがあり、味わいや栄養成分の含有量に違いが生じます。