DHA・EPAと脂肪酸の基礎知識

不飽和脂肪酸とは?
不飽和脂肪酸の特徴
不飽和脂肪酸とは炭素同士に二重結合を含む脂肪酸のことで、オレイン酸やリノール酸、DHA、EPAなどが不飽和脂肪酸にあてはまります。二重結合がひとつである場合の一価不飽和脂肪酸と、複数の二重結合がある多価不飽和脂肪酸の2種類があり、多価不飽和脂肪酸は、その二重結合の位置によってn–3系不飽和脂肪酸(オメガ3脂肪酸)とn–6系脂肪酸(オメガ6脂肪酸)にさらに分類されます。
悪玉コレステロールの抑制や過酸化脂質の発生予防に効果があるといわれており、「健康によい油」といわれています。
二重結合のない飽和脂肪酸は融点が高く、常温でも固体の状態であることが多いのに対し、不飽和脂肪酸の場合は低い温度でも溶け、10℃~20℃の室内でも液体の状態です。
不飽和脂肪酸の体内での働き
不飽和脂肪酸はその種類によって体内で異なる働きをします。
一価不飽和脂肪酸の働き
一価不飽和脂肪酸は、悪玉コレステロールを減らす一方で、善玉コレステロールは維持させる働きがあります。悪玉コレステロールは動脈硬化の原因にもなるため、動脈硬化予防に効果が期待できます。一価不飽和脂肪酸の代表としては、オリーブオイルや菜種油などに含まれるオレイン酸があります。
n–3系不飽和脂肪酸の働き
細胞膜や生理活性物質の材料となる物質で、体のしくみに直接働きかけます。中性脂肪を減らす、善玉コレステロールを増やす、血栓ができるのを防ぐ、といった働きがあり、動脈硬化予防にも役立つとされています。
また、n–3系不飽和脂肪酸の不足は、発育不良や皮膚炎の原因にもなります。
n–3系不飽和脂肪酸の代表としてはDHA、EPAがあり、しそ油などに含まれるα-リノレン酸もn–3系不飽和脂肪酸になります。
n–6系不飽和脂肪酸の働き
コレステロール値を下げる働きがあるものの、摂取しすぎると善玉コレステロールを下げたり動脈硬化を引き起こすことがあるため、摂取量に気をつけることが必要です。また、月経や出産に関わるイコノサイドという生理活性物質をつくるといった働きも持ちます。
体内では、n–3系とn–6系のそれぞれの不飽和脂肪酸から別のイコノサイドがつくられ、体の機能を整えています。
不飽和脂肪酸を多く含む食品には、青魚やアーモンド、クルミなどのほか、オリーブオイルや菜種油、シソ油など植物由来の油があります。
食事で摂取するのが理想的ですが、サプリメントなどで摂取することもできます。
脂肪酸を摂取する際に大切なのはそのバランス。「飽和脂肪酸:価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸=3:4:3」の割合で摂取するのが望ましいとされています。
なお、マーガリンやショートニングに含まれるトランス脂肪酸も不飽和脂肪酸の一種ですが、こちらは摂りすぎると悪玉コレステロールを増加させるため注意が必要です。
魚やオリーブオイルなどに多く含まれる「不飽和脂肪酸」は、動脈硬化や心筋梗塞の予防や脳の活性化、アレルギー症状の緩和など、多岐にわたって効果を発揮する体にとって欠かせない成分。ここでは、その特徴や体内での働きについて詳しく解説します。