DHA・EPAと脂肪酸の基礎知識
健康意識の高い人や子どもを持つ親世代、アルツハイマー対策を意識している世代など、幅広い人たちに注目されているDHA(ドコサヘキサエン酸)。DHAを摂取することで、どのような効果や効能が期待できるのでしょうか。

DHAの効果(1)血液をサラサラに
赤血球などの血液中の成分に柔軟性がなくなると、いわゆるドロドロの血液となって血流が悪化します。この状態が長期間にわたると、全身の細胞に酸素や栄養が行き渡らなくなり、体にさまざまな不調が現れます。不飽和脂肪酸であるDHAは、血液中成分をやわらかくし、血液をサラサラにする効果があります。
また、DHAにはコレステロール値の上昇を抑える働きや、中性脂肪を減らす働きもあります。コレステロールや中性脂肪が血管の壁に溜まることで動脈硬化が引き起こされるため、DHAの摂取によって、動脈硬化予防に効果が期待できると言えます。
DHAの効果(2)脳を元気に
人間の脳はおよそ140億もの神経細胞でできています。
DHAはこの神経細胞の膜の中に存在しており、DHAが神経細胞の先端のシナプスを介して神経伝達物質をやりとりしながら心身の機能をコントロールしています。
脳の神経細胞は、35歳を過ぎると1日10万個といったペースで死滅していき、さらに、神経細胞の膜の中のDNAも加齢とともに減りやすくなります。それによって情報伝達の機能が衰えてしまいますが、DHAを日常的に十分摂取していると、脳の中のDHAの量が次第に回復し、脳の老化を抑えることが可能になるとされています。また、近年の研究で、DHAには、脳の働きを活性するのに重要となるNGF(神経成長因子)という栄養素の産出量を増やす働きがあることも明らかとなってきました。NGFはアルツハイマー型認知症の改善にも役立つとされている成分であるため、DHAはアルツハイマー型認知症にも効果があると考えられています。あわせて、動脈硬化を防ぐ効果もあるため、脳梗塞を予防し、残った細胞を活性化することで、記憶障害を改善する効果も期待できるとされています。
その他の効果
健康維持や脳の活性化に効果的なDHAですが、DHAの効果はこれだけではありません。
過剰な防衛機能を引き起こす物質の生産を抑制する働きがあるため、アレルギーの改善にも効果が期待されています。また、網膜の脂肪にもDHAが含まれており、網膜細胞をやわらかくする働きがあることから、網膜の反射機能を高め、視力の回復に役立つともいわれています。