DHA・EPAの摂取方法
DHAは、脳の発達や活性に重要な働きをする栄養素として知られ、幼児や子供の脳の発育によいという研究結果もあります。では、DHAは脳内で具体的にどのような働きをするのでしょうか。

「かしこい脳」をつくるDHA
DHAは脳や神経組織に多く存在し、子どもの脳の発達にも大きな影響を与えるとされています。
脳内の情報伝達をスムーズにする
脳が活動する際、情報のやりとりを行うのが脳の神経細胞。神経細胞の発達は母体にいる胎児期から始まり、生後8か月の頃に最大になり、成人期まで続きます。そしてこの神経細胞の細胞膜の主成分となっているのがDHAです。神経細胞の細胞膜にDHAが多くあると、細胞膜は柔らかい状態を保ち、脳内での情報伝達がスムーズになります。脳内の情報が伝わりやすくなり、いわゆる「頭の回転が速い」といった状態になります。
幼児期から小学校を卒業するまでは積極的に
脳や神経の発達は、生後急速に進み、12歳頃には20歳のレベルにまで発達します。特に幼児期から小学校を卒業するまでは脳の発達に重要な時期なので脳に必要な栄養素をしっかりと摂ることが大切です。
DHAもこの時期に欠かせない重要な栄養素。DHAの神経発達に対する効果は、成育時期により異なります。乳児期早期は、視覚機能や顔を見分ける能力に、乳児期後期や幼児期では、運動神経や、ものを覚えるといった脳の認知能力に、そして、小学生以降では、集中力、注意力といった高次脳機能への影響が考えられています。
実際に、6~12歳の子どもにDHAとEPAを配合した飲み物を12か月間飲ませると、飲まなかった子どもたちに比べ、言語・学習・記憶のスコアが高くなったという実験結果もあります。幼時期から小学生までの神経が発達する期間は、特に意識してDHAの摂取量を増やすようにしましょう。
子どもの発育に欠かせないDHA
子どもの発育においてDHAがもたらす影響は脳以外にもさまざまです。その一例を紹介します。
視覚機能の向上に役立つ
DHAは、目の網膜や視神経にも多く存在しています。ものを見るときは、目から入る光が目の奥の網膜に到達し、網膜に像が映し出され、その情報が視神経を通じて脳に伝わることで、ものを認識します。視神経の細胞膜にDHAが多く含まれると、視神経の脳への情報伝達がスムーズになり、目に映った像をより素早く正確に脳に伝えることができます。
乳児を対象とした研究でも、DHAを摂取した乳児はDHAを摂取しなかった乳児と比べて、視力が高くなることがわかっています。
こうした結果からもDHAは、網膜や視神経の働きを活性化し、子どもの目の健康や視覚機能の向上に役立つと考えられています。
子どもの心の成長にも重要
DHAは、身体の健康だけでなく、集中力や社会性といった精神面においてもよい影響をもたらすとされています。健康な小学生を対象とした研究で、1日600mgのDHAを摂取した児童と摂取していない児童の行動を保護者に評価してもらい比較したところ、摂取した児童は摂取しなかった児童と比べ、反抗性や落ち着きのなさに大きく改善が見られたことがわかりました。こういったことから、子どもの心の成長にも、DHAは重要であると考えられます。