体に必要な鉄が不足すると、さまざまな健康被害を引き起こします。ここでは、鉄と貧血の関係、鉄分不足になることによって起こる症状や影響、はやめの鉄の補給を心がけたい理由などについてご説明いたします。

鉄不足によって起こる症状についてご紹介します。
鉄不足である人の多くは「貧血」ではなく、鉄欠乏症の人が多く「隠れ貧血」などと言われることもありますが、その多くの人は採血してもヘモグロビン濃度は参考基準値内であり、つまり貧血ではありません。鉄はいわゆる鉄欠乏性貧血だけでなく多くの症状・病態に深く関係しています。
鉄欠乏性貧血とは?
鉄欠乏性貧血とは、体内の鉄が不足して、赤血球に含まれるヘモグロビンに必要な鉄まで不足することが原因で起こります。貧血の8~9割を占めるともいわれています。具体的な症状としては、めまい、立ちくらみ、動悸、疲れやすさなどがあげられます。体内の鉄が足りなくなっても、体中に酸素を運ぶという重要な役割を果たしているヘモグロビンの鉄は最後まで守られます。そのヘモグロビンの鉄が減ってきたということは、かなり鉄欠乏が進んでいることを意味します。鉄欠乏の人の多くは鉄欠乏性貧血ではありません。
鉄不足が招くさまざまなトラブル
鉄が不足すると、以下のような症状が心身に表れます。
- めまい
- 疲れやすい
- 肩こり
- 冷え
- 風邪をひきやすい
- 少し動いただけで動悸がする
- 集中力の低下
- 憂うつな気分
- 神経過敏
- イライラする、キレやすい
- 食欲が低下する
- のどがつまる感じがする、嚥下障害
- 硬いもの(氷、せんべい、鉛筆など)を噛みたくなる
- しみやアザができやすい
- 髪が抜けやすい、髪にコシがない
- 脚がむずむずして眠れない
- 脚がつりやすい
- 爪が白い、扁平化、柔らかい、割れやすい
など…
はっきりとした症状が出る前に鉄不足を緩和
食物より摂取した鉄は、体内で機能鉄と貯蔵鉄に分かれます。ヘモグロビンを構成し、全身に酸素を運ぶ機能鉄は全体の約7割、肝臓・脾臓・骨髄中にある貯蔵鉄は全体の約3割です。
鉄不足の諸症状は、鉄の需要と供給のバランスが崩れることで出始めますが、貯蔵鉄がある程度残っているうちは強い症状がでることはありません。逆に言えば、強い症状が出るということは、貯蔵鉄すらも不足しており、体の機能を十分に働かせることが難しい状態です。貧血のない隠れ鉄不足のサインを感じたら、はやめに鉄を補給することで鉄不足のさまざまなリスクを回避しやすくなります。