この記事は過去記事・
「テギルと英祖の母、淑嬪・崔氏の夢見たもの:『テバク』予習その5 」の、
朝鮮王朝時代の身分制度と
側室の位階についての補足説明です。
朝鮮王朝時代の身分制度は、
日本の江戸時代の「士・農・工・商」のような
両班(ヤンバン)、中人(チュンイン)、
常民(サンミン)、賤民(チョンミン)の
4つの身分に別れていました。
このうち、両班と中人は支配階級であり、
常民、賤民は被支配階級でした。
図にするとこのようになります。
両班……科挙に合格して、朝廷で文武官職に就いて政治に参加。もしくは学者(ソンビ)になった。
中人……医学・天文学・通訳などの専門技術職に従事。両班を補佐して官庁で働く者もいた。
常民……農業、商業、手工業などに従事。農民が最も多かった。
賤民……奴婢(ノビ:官庁に所属する官奴婢、個人が所有する私奴婢など)、妓生(キーセン:宴会で歌舞を披露する女性)、僧侶、巫堂(ムダン:神降ろし)、広大(クァンデ:芸人)、白丁(ペクチョン:皮革業などに従事)など。
テギル(モデルは永寿君/ヨンスグン)と延礽君(ヨニングン)の生母である
淑嬪・崔氏(スクピン・チェシ)は、
奴婢のムスリ(宮中の下働き)出身と世に知られています。
朝鮮王朝史上、
奴婢出身の女性が王に見初められて
側室の最高位・嬪(ピン)の地位まで上りつめたのは
淑嬪・崔氏ただ1人です。
側室の位階は下の図の通りです。
側室の最高位である嬪だけ、
「禧嬪」や「淑嬪」のように
嬪の前に王から与えられた別号が付きます。
なお、王の寵愛を受けると同時に昇格する
「承恩尚宮(スンウンサングン)」の地位には
特別な品階は与えられません。
賤民出身という低い身分であったために、
ほとんど記録が残っていない淑嬪・崔氏。
謎めいた淑嬪・崔氏について
『テバク』がどのような新しい解釈を加えるのか、
韓国時代劇ファンの私はとても期待しています。
※参考文献は後日まとめて記します。