こんにちは、行政書士の石井くるみです
4月より、いよいよ旅館業法「簡易宿所」の規制緩和が行われます
本日3月30日(水)、「旅館業法施行令・施行規則の一部を改正」対する公募意見として寄せられたパブリックコメントの結果が公示されました。
原文(政令改正の結果公示別紙)はこちら
寄せられた公募意見は、なんと158件
以下、その主な内容と重要ポイントをまとめたいと思います
旅館業法施行令改正パブコメから読み解く3つの重要ポイント
①改正趣旨 … 広がる「違法民泊サービス」への対応
②条例改正の要請 … 自治体には早期の条例改正や弾力的運用を促進
③一棟貸しの可否 … 原則として1人(1グループ)への貸出しは不可
寄せられたパブコメに対する厚生労働省の考え方を知ることは、今後の民泊事業の推進に大いに役立つと思います
①改正趣旨・・・広がる「違法民泊サービス」への対応
今回の改正内容は…
〇面積基準を、3.3㎡×宿泊者数以上とするよう、面積要件を緩和するとともに
〇玄関帳場の設置要件を廃止するよう、玄関帳場の設置を求める通知の運用を見直す
今回の改正の背景として…
〇昨今の社会情勢の変化等(例:都市部のマンション化)を踏まえ、宿泊者が 10 人未満の場合においても、簡易宿所の営業を可能とする
〇簡易宿所の許可を取りやすくして、急増する違法民泊をできる限り規制下に置く
早急な違法民泊対策のため・・・・
〇猶予期間は設けず、改正政令の施行日は平成28年4月1日とする
〇しかし、都道府県等における条例改正等を施行日までに行うことを求めるものではない
〇ただし、可能な限り早期に条例改正等の必要な対応を行ってもらうことを想定している
民泊サービスの合法化に向け、政府の並々ならぬ意欲を感じます
パブコメでは、面積要件のみならず、帳場設置義務や最低トイレ個数等を定める条例等の改正も要請することが明らかになっています。
②条例改正の要請・・・早期の条例改正や弾力的運用の促進
まず厚生労働省としては・・・
〇衛生等管理要領で定める施設設備の基準(例:玄関帳場の設置義務)を、小規模施設の特性を踏まえて改正する
厚生労働省から自治体に対しては・・・
〇今回の改正の趣旨を踏まえ、各自治体に対して、公衆衛生上支障のない範囲で条例等を点検し、必要に応じて条例の弾力運用や改正等を行うことを要請する
民泊に慎重な自治体は・・・
〇構造設備及び衛生措置について、本政令を含む法令に反しない範囲において、各自治体の実態に即して必要な基準を条例で定めることができる
簡易宿所の許可取得の実務では、玄関帳場設置の工事や、必要トイレ個数の制約が面積要件以上に厳しいハードルになっていますので、自治体の条例・規則の改正を要請する政府の方針は、民泊の適法化を更に後押ししてくれるでしょう
なお、民泊に慎重な自治体への配慮として、法令に反しない範囲であれば、簡易宿所の構造及び衛生措置について、各自治体の実情に応じた運用が可能な点も言及されています。
③簡易宿所の一棟貸しの可否
「宿泊する場所を多数人で共用する」とする簡易宿所の定義から・・・
〇1名(1グループ)しか宿泊できない施設は、簡易宿所としての許可を得ることはできない
○しかし、結果として宿泊希望者が1人の日があることのみを理由に営業許可が取り消されるものではない
旅館業法第5条「宿泊拒否の禁止」により・・・
〇1名予約後に、別の者から宿泊予約が入った場合、旅館業法上、原則として宿泊を拒んではならない
面積要件緩和後の小規模簡易宿所では、実際には1人(1家族や1グループ単位)での貸出しがメインになると想定されますが、「多人数共用」を目的とする簡易宿所では、一棟貸しは認められない旨が回答されています
ただし、結果的に1人のみの宿泊の場合は問題ないとされていることから、旅館業法の宿泊拒否禁止規定も考慮しつつ、何らかの集客上の仕組みにより、実質的に一棟貸しを行うパターンが出てくるかもしれませんね
パブリックコメントの重要ポイントまとめ
4月1日からの簡易宿所の規制緩和を受け、次の注目ポイントは「各自治体の条例等改正」と、民泊ありかた検討会における「民泊新制度の最終結論」となるでしょう。
民泊の規制緩和の動向から、ますます目が離せません
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