<翠風の章 天馬の節 2月15日>

 

マリアンヌ踊り子

 

はい、マリアンヌはかわいいです。

本当に何を着てもかわいいなあ。

 

間違えました。

踊り子はかわいいです。

踊るとき両手をグーにしてクルクル回すのがかわいくて好きです。

 

でもなんというかもっとこう…マーニャ(鳥山明先生天才)みたいな…「踊り子さんには手を触れないでください」みたいなのを期待した自分はアレなのでしょうか。

きっとオリエンタルなイメージは世界観にそぐわなかったのでしょうね。

(と思うことにします。)

 

兵種「踊り子」。

 

「踊る」コマンドで行動済みの味方ユニットを未行動状態にできます。

え…そんなんありなん?

これを使えばあんなことやこんなことも…。

 

一緒についてくる戦技「剣の舞」は回避・必殺回避の補正値が+20%。

さらにスキル「剣回避+20」を併用すれば、回避率 40% アップです。

 

華麗な舞で敵を幻惑し、死角から急所をサクッ。

敵は舞に見惚れながら、刺されたことにも気づかず絶命…みたいなイメージですね。

戦闘シーンでは真正面からぶった斬ってますが。

 

マリアンヌ剣の舞

 

さらに魔法も使えちゃいます。

 

マリアンヌ踊り子魔法

 

踊り子ってなんなん?

 

でも攻略本様の情報によると、踊り子はレベルアップ時の成長率補正が低いのです。

というか「力」「守備」「魔防」がマイナス補正なのです。

う~ん…おいしい話には裏がある…。

 

結局マリアンヌは「ダークペガサス」兵種で運用しています。

だって空飛べるんだもん…。

衣装もかわいいし…。

 

 

 

「剣の舞」といえば『千一夜物語』(または千夜一夜物語、またはアラビアン・ナイト)の『アリ・ババと四十人の盗賊の物語』のヒロイン、マルジャーナを連想します。

マルジャーナ(「珊瑚」の意)は、アリ・ババ夫妻が幼い頃に引き取ってわが子同然に育てた若い娘です。

 

昔々、ペルシアにアリ・ババという働き者の樵夫(きこり)がいました。

財産はロバ三頭きりでした。

 

ある日アリ・ババはたまたま、盗賊団(総勢四十人)が、どんな扉でも開く呪文(「開け、ゴマ!」)で岩を開いてアジトに入るのを木の陰から目撃しました。

アリ・ババは盗賊団が去ったのを見計らって、呪文で岩を開きました。

アジトの洞窟には膨大な宝物が蓄えられていましたが、アリ・ババは連れていた三頭のロバに金貨を積めるだけ積んで持ち帰りました。

 

紆余曲折があり(この間のお話も面白い)、盗賊たちはアジトの洞窟のセキュリティが破られたことを知りました。

盗賊の頭は手下その1を侵入者の捜索に送り込みました。

手下その1は首尾よくアリ・ババ夫妻の家を見つけましたが、マルジャーナの機転によってアリ・ババは難を逃れました。

盗賊の頭は手下その1の首を刎ね、手下その2を送り込みましたが、以下同文でした。

 

ついに盗賊の頭は自ら、油商人に変装してアリ・ババ夫妻の家を訪ねました。

手下その3~その39は馬の左右に載せた大きな甕(かめ)に隠れました。

 

アリ・ババは善人だったので、油商人に変装した盗賊の頭をもてなしました。

マルジャーナはたまたま、油商人の運んできた甕を覗いてみて、人が入っているのを知って仰天しました。

しかしマルジャーナは瞬時に事態を悟り、解決策を考えて実行しました。

マルジャーナは手下その3の入った甕に煮えたぎった油を一気に注ぎ入れました。

手下その3は即死でした。

手下その4~その39も同じ運命をたどりました。

盗賊の頭は手下が全滅したのを知って復讐を誓いましたが、とりあえず逃げました。

 

ところでアリ・ババの長男は市場に店を構えていましたが、最近隣に店を開いた商人ハッグ・フサインがとても親切にしてくれるので、家に招いてもてなすことにしました。

ハッグ・フサインはもてなしを受けましたが、塩を断りました。

アリ・ババはマルジャーナに塩抜きの料理を作らせるよう言いました。

 

アリ・ババ親子とハッグ・フサインの食事が済んだころ、マルジャーナが舞姫の衣装を身に着けて入ってきました。

アリ・ババ親子とハッグ・フサインは目が釘付けになりました。

マルジャーナはありとあらゆる舞を舞い、最後に腰に下げた短剣を抜いて剣の舞を舞いました。

舞い終わるとマルジャーナは、歌姫や舞姫の習わしに従って、三人のところに行き喜捨を乞いました。

ハッグ・フサインが財布から金子を出そうとしたとき、マルジャーナが突然、短剣でハッグ・フサインの心臓を貫きました。

アリ・ババ親子はマルジャーナが発狂したと思って取り押さえようとしました。

マルジャーナは落ち着き払って、歓待の神聖な塩を味わおうとしなかったこの男こそ、偽の油商人であり、四十人の盗賊の頭目その人であることを示しました。

アリ・ババはマルジャーナに泣いて感謝しました。

 

そしてマルジャーナはアリ・ババの息子と結婚し、盗賊の宝も賢く使いつつ、末永く幸せに暮らしました。

 

長文で失礼いたしました<(_ _)>。

要約するとこんな感じですが、お話を読むとイスラム世界に浸れます。

 

お魚

 

ところで『千一夜物語』のヒロインと言えばシャハラザード(またはシェヘラザード)ですね。

ヒロインというか語り手ですが。

ん?「シェラザード」が正解では?と思われた方が多いかもしれませんが、「シェラザード」はゲームのキャラクターだそうです。

確かに「シェラザード」の方が語呂がいいですね。

 

『千一夜物語』は物語が 1001 話あるわけではなく、シャハラザードが千一夜にわたって物語を語ります。

聞き手はシャハリヤール王です。

そしてお話がいいところに差し掛かると、「ここまで話した時、シャハラザードは朝の光が射してくるのを見て、慎ましく、口をつぐんだ。」となります。

連載漫画みたいですね。

 

これには訳があります。

 

シャハリヤール王はある事件がきっかけで極度の女性不信に陥ります。

そして夜伽の娘を朝になると殺してしまうようになりました(殺人鬼やん…)。

それが続いたので、都の人々は若い娘を連れて逃げ出し、とうとう都には若い娘がいなくなりました。

シャハリヤール王の宰相は、王のもとに連れていく娘がいなくなり、王に対する恐怖で胸いっぱいになりながら家に帰りました。

 

ところで宰相には美しい二人の娘がありました。

姉はシャハラザード(「都市の娘」の意)、妹はドニアザード(「世界の娘」の意)といいました。

シャハラザードは父の話を聞いて、自分をシャハリヤール王にめあわすよう頼みました。

宰相は必死で止めましたが、シャハラザードの決意は固く、シャハリヤール王に嫁ぐことになりました。

 

最初の夜、シャハラザードは泣き出し、シャハリヤール王に理由を問われると、妹に別れを告げたいと言いました。

そこで王はシャハラザードの妹ドニアザードを呼びにやりました。

あらかじめ言い含められていたドニアザードは、シャハラザードに物語を聞かせてくれるよう頼みました。

 

こうして千一夜が始まりました。

そしてお話がいつもいいところで終わるので、シャハリヤール王は続きを聞きたいがために、シャハラザードを殺せなかったのです。

 

ついに千一夜目、最後の物語が終わった時、ありえないミラクルが起こり、大団円、めでたしめでたしで終わります。

 

また長文で失礼いたしました<(_ _)>。

 

お魚

 

「踊り子」といえば佐藤史生先生著『夢みる惑星』に登場する舞姫シリンを連想します。

シリンは何千人もの観客をとりこにするばかりか、集合無意識に働きかけることまでできるのですが、本人にはあまり自覚がありません。

同じく物語に登場する、暗殺を生業とするモロー族の秘儀 ”舞” は、相手を幻惑し、犠牲者は急所を刺されても気づかず、痛みもなく、血も出ず、速やかに死にます。

その成り立ちをシリンが解き明かす場面は圧巻です。

『夢みる惑星』は、オリエンタル風味も入ったファンタジーとみせかけて、実はSFです。

魅力的な人物が綺羅星のごとく次々登場し、壮大なスケールで展開しますが、佐藤史生先生独特のそこはかとないユーモアが全編に漂い、とても楽しいお話です。

 

お魚

 

日本の元祖踊り子といえば、『古事記』に登場する天宇受売命(あめのうずめのみこと)でしょうか。

 

こうの史代先生著『ぼおるぺん古事記』は楽しく読めて古事記も学べます。

 

高天原(たかあまのはら)にやって来た建速須佐之男命(たけはやすさのをのみこと)のありえないやんちゃっぷりにショックを受けた天照大御神(あまてらすおほみかみ)は、天石屋戸(あめのいはやと)に引きこもっておしまいになりました。

世界は暗くなり、夜ばかり続きました。

八百万(やほよろず=大勢)の神は集まって相談し、一計を案じました。

八百万の神は準備を整えて天石屋戸の前に集まりました。

アメノウズメは桶を伏せてお立ち台にし、激しく踊りました。

アメノウズメの神懸ったハジケっぷりに八百万の神は大フィーバーし、高天原を揺るがすほどでした。

何事かと思ったアマテラスは天石屋戸をほんの少し開いて「世界が暗くなったのにアメノウズメはなに遊んでんの?みんななに笑ってんの?」と訊きました。

アメノウズメは「あなたよりイケてる神がいるのでみんな喜んで笑ってるんです」と答えました。

すかさず他の二人の神が、この作戦のために作った鏡をアマテラスに見せました。

アマテラスが思わず顔をのぞかせると、力持ちの神が手を取って連れ出しました。

みんなはアマテラスにもう引きこもらないでくださいと頼みました。

こうして世界はまた明るくなりました。

(この鏡が三種の神器のひとつ八尺鏡(やたかがみ)、または八咫鏡(やたのかがみ)で、現在は伊勢神宮の御神体です。)

 

同じくこうの史代先生著『この世界の片隅に』は映画化され、ロングラン上映されてヒットしましたね。

ヒロインのすずさんは何とも言えない魅力があり、広島弁がよく似合います。

 

同じくこうの史代先生著『夕凪の街 桜の国』は原爆がテーマで、被爆した人たちの、未来に続く物語が、あるいは続かなかった物語が描かれます。

悲しい場面もありますが、全編がこうの史代先生の作品に共通するほのぼのとした温かさに包まれています。

 

お魚

 

お読みいただき、ありがとうございました。