雑話204「印象派を超えて-点描の画家たち③」
今週も、国立新美術館で開催中の「印象派を超えて-点描の画家たち」展についてお伝えします。
最終章である「モンドリアン-究極の帰結」では、モンドリアンの抽象作品はスーラの分割主義がたどり着いた最終的な形であるという仮説に基づいて、それが発展していった過程を見ていきます。
風車などを比較的保守的なスタイルだったモンドリアンの作品は、同じオランダ人であるゴッホとヤン・トーロップの影響を受け、急激に明るさを増し、形態は極端に単純化されていきました。
ピート・モンドリアン「砂丘」1909年
この時期に描かれた作品には、トーロップから模倣した分割主義の自在な応用が見られ、トーロップがオランダに紹介したシニャックの好む幅広の筆触が援用されています。
その後、眼に映るものを断片化したキュビスム作品に刺激を受けたモンドリアンは、非物質化、いわば究極の抽象にまで突き詰めることで、物事の奥の本質へと迫ろうとしました。
ピート・モンドリアン「コンポジションNo.Ⅱ」1913年
※一見抽象に見えますが、木のある風景をもとに制作されています。
「普遍的な美」を表現するために、事物の表象の奥に存在する構造に注目し、具象性を消し、平面における線と色の組み合わせで表現することで、単なる人間世界の表現を超えた高みへと、その芸術を持ち上げようとしました。
さらに年月を経て、モンドリアンが最終的に確立した「普遍的な絵画的言語」は、分割主義のもたらした究極の帰結です。
彼は表現の手段-色彩と線-を分け、それぞれを自律的な独立した要素として扱いました。
ピート・モンドリアン「赤と黄と青のあるコンポジション」1927年
垂直線と水平線、加えて青、赤、黄などの原色、さらに黒、白、灰色の無彩色が織りなす相互の関係性は、常に変化し続ける均衡のとれた幾何学的コンポジションへとたどり着きます。
黒の線は色面を縁どるだけではなく、独立した構成要素として彼の絵の中で機能しています。これらの色面で絵画を構成する目的は、普遍的な関係や、明快な構造と調和を実現し、伝達することなのです。
こうして、スーラによって動き出した分割主義の発展は、単色の平面をも独立した視覚的特徴を持った作品になりえることを示したモンドリアンの絵画によって締めくくられることになったのです。
従来、印象派の亜流といった感じで受け止められてきたスーラの点描画を、モダンアートが展開する基礎を築いたものであるとする、今回の企画には新鮮な驚きをおぼえました。
また、これまであまり国内で紹介されなかったベルギーやオランダの点描画の作品も多数出品されており、興味深い展示となっています。
美術がお好きな方には、きっと楽しんでいただける素晴らしい機会になることでしょう。
「印象派を超えて-点描の画家たち」
ゴッホ、スーラからモンドリアンまで
国立新美術館で12月23日まで開催予定
その後は、広島県立美術館、愛知県美術館を巡回予定です。


