絵画BLOG-フランス印象派 知得雑話 -73ページ目

雑話205「歴史画-アカデミズムの頂点」

19世紀のフランス美術界では、官立の美術学校であるアカデミーが絶大な権威を誇っていました。


そこで、芸術家たちが認められるためには、アカデミーの求める規範に忠実である必要がありました。そんな規範の一つに、ジャンルに対する厳然とした序列がありました。


最も高尚なジャンルと考えられたのが「歴史画」で、その後に「肖像画」、「風俗画」、「風景画」、「静物画」と続いていきました。


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「皇帝ナポレオン1世と皇妃ジョセフィーヌの戴冠」(一部)

「歴史画」が頂点とされたのは、そこに登場するのが高尚な人物であり、そんな彼らが一定の主題の下に集められ「群像」として表現されるとき、「高尚」、「高貴」のパワーは増幅されて「歴史画」という至高のジャンルを形作ることになるとされたからです。


歴史画の条件はだいたい①誰でも知っている事件であること、②作品のサイズが大きいこと、③できれば3角形構図を取っていることの3点に集約されます。


①の「誰でも知っている事件」とは、古典古代とキリスト教的主題に重きを置いたものでした。


具体的には「神話画」、「宗教画」、「史実を描いたもの」が「歴史画」とされました。


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ウジェーヌ・ドラクロア「民衆を導く自由の女神」1830年

※1830年のフランス7月革命を主題としています

ここでいう誰でもというのは、あくまでも作品を評価する立場の知的エリートを指し、一般大衆の誰でもという意味ではありませんでした。


②のサイズは、現代日本の住宅事情では考えられないほどの大きさです。


例えば、ヨーロッパでもっとも有名な歴史画の一つに、ダヴィッドの「皇帝ナポレオン1世と皇妃ジョセフィーヌの戴冠」があります。


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ジャック・ルイ・ダヴィッド「皇帝ナポレオン1世と皇妃ジョセフィーヌの戴冠」1805-7年

ノートルダム寺院で行われたナポレオンの戴冠式を描いたこの作品のサイズは、何と縦6m以上、横9m以上という巨大なものです。


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これが極端な例だとしても、1m四方程度の歴史画は存在しないようです。


最後の3角形構図とは、ピラミッド構図ともいえるもので、この形が最も安定しているとされています。


その典型的なものが、ラファエロの聖母子像を描いた作品群です。


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ラファエロ「聖母子と聖ヨハネ」1507年

「聖母子と聖ヨハネ」でも、底辺が画面の下辺と並行していて、その両端から同じ角度で画面上方に向けて最終的には交差するかたちで立ち上がる直線の中に聖母と幼いキリストと聖ヨハネがまとまっています。