絵画BLOG-フランス印象派 知得雑話 -52ページ目

雑話226「光の賛歌 印象派展」

現在、京都文化博物館で開催中の「光の賛歌 印象派展」に行ってきました。


京都文化博物館入口

本展では、印象派の中心画家であるモネ、ルノワール、シスレー、ピサロをはじめとする作品約80点を川辺と海辺の風景を中心に紹介しています。


それでは、早速注目作品をご紹介していきましょう。まず最初にご紹介するのは、エドゥアール・マネの「アルジャントゥイユ」という作品です。


エドゥアール・マネ「アルジャントゥイユ」1874年

タイトルのアルジャントゥイユは、パリの北西、セーヌ川右岸に位置する街で、そこではモネを中心とした印象派の画家たちが集まって、水辺の景色を競って制作していました。


戸外制作をモットーとするモネに触発されて、部分的ながらも初めて戸外制作を試みたりするなど、この頃がマネの絵画のなかで最も明るい色調の作品が生まれた時代です。




夏の暑い空気感と透明な遠近感を二次元の平面に閉じ込めたかのようなこの魅惑的な絵画には、大気の振動、光の戯れ、人物の生命力などの要素が、縦型のフォーマットの構図と随所に散りばめられた色彩の交響の中に凝縮されています。


その隣にあるのは、この展覧会最大の注目作品である、ピエール=オーギュスト・ルノワールの「ブージヴァルのダンス」です。


オーギュスト=ピエール・ルノワール「ブージヴァルのダンス」1883年

この大作は、踊る男女を描いた、有名な三部作のひとつで、ルノワールの作品を代表するものです。


ブージヴァルはパリの西方15kmにあり、セーヌの水辺のスポットして人気の行楽地でした。


この絵のハイライトは、もちろん踊っている女性の顔です。羞じらいを含んだ伏し目がちで繊細な表情が魅力的で、男性は吸い込まれるように顔を近づけます。




ダンスで抱擁と接吻を余儀なくされる瞬間、それを抑制するように控えめに応じる彼女の姿態は、女性を描かせたら他の印象派の画家を追従を許さないルノワールの真骨頂というべきでしょう。


最後にご紹介するのは、クロード・モネの「ル・カヴェへの道、プールヴィル」です。


クロード・モネ「ル・カヴェへの道、プールヴィル」1882年

この作品は、英仏海峡に望むノルマンディ沿岸の北に位置するプールヴィルを訪れた際に描いた一連の作品群の中のひとつです。


ここでは、やや俯瞰した構図で、水平線を画面の上部4分の1の高い位置に描き、点描と跳ね上げるような筆触で木々や草花が風に揺らめく瞬間を映しとったかのような効果を出しています。




また何より素晴らしいのは、その大胆で奇抜な構図です。切り通しの手前の両斜面からできるV字と、海との境界線となる左斜面と右の木々のラインによるV字からなるW型構図で、鑑賞者は意表を突かれます。


前景の明るい道や両斜面、中景の暗く重量感のある木々、遠景の蒼々とした海とすがすがしく清涼感に溢れる空の明るさ、これらが互いに強調し効果的に描かれています。


この他にもご紹介できませんでしたが、数多くのシスレーの作品が展示されていて、印象派がお好きな方には楽しんでいただける内容ではないかと思います。


「光の賛歌 印象派展 パリ、セーヌ、ノルマンディの水辺をたどる旅」

京都市文化博物館

5月11日(日)まで開催予定