雑話229「夢見るフランス絵画展」
現在、兵庫県立美術館で開催中の「夢見るフランス絵画展 印象派からエコール・ド・パリへ」に行ってきました。
本展はタイトルにもあるように、印象派からエコール・ド・パリの芸術家の作品で構成されていますが、その中でも特に日本人に人気の高い画家のものばかりが集められています。
それでは、早速注目作品をご紹介していきましょう。
最初にご紹介するのは、セザンヌの「大きな松と赤い大地(ベルヴュ)」という作品です。
ポール・セザンヌ「大きな松と赤い大地(ベルヴュ)」1885年頃
1882年から1888年の間、セザンヌはプロヴァンス地方で精力的に制作していました。
彼は故郷の豊穣な風景を、幾何学的な形態と豊かな色彩の連なりに置き換えようと試みていたのです。
制作拠点のひとつであったベルヴュでは、本作のように枝を大きく伸ばし、画面の半分以上を覆う前景の松の木を、何度も描いています。
赤い大地遠くに広がる透明感のある空、植物の鮮やかな緑の組み合わせが清々しい作品です。
次にご紹介するのは、モネの「エトルタ、夕日のアヴァル断崖」です。
クロード・モネ「エトルタ、夕日のアヴァル断崖」1883年
ノルマンディー地方の町エトルタは、切り立った崖や奇岩の多いことで知られ、多くの芸術家が制作に訪れました。
モネもまた、1883年から3年間この場所に通い、時間や天候によって異なる表情を見せる景色を繰り返し描いています。
本作で捉えられているのは、太陽はすでに沈み、間もなく夜が訪れる束の間の時間帯です。
背後から落陽の光をうけて、尖ったエギュイユ島とアヴァル門の形が暗く浮かび上がっています。
印象派を代表するモネの後にご紹介するのは、モネと同じくらい日本でも人気のあるルノワールの作品です。
ピエール=オーギュスト・ルノワール「宝石をつけたガブリエル」1908-10年
妻の親戚で、故郷から家事の手伝いに来ていたガブリエルはまた、多くのルノワールの作品に登場するモデルでもありました。
本作では、透けるようなベールを羽織り、宝飾品と薔薇の組み合わせを確かめる彼女の様子が描かれています。
温かみを帯びた豊満な肉体からは、彼女の健康的な若さが窺えます。
最後にご紹介するの作品は、モディリアーニの「小さなルイーズ」です。
アメデオ・モディリアーニ「小さなルイーズ」1915年
画面に描かれた娘は腰にエプロンを着用し、腕は太くがっしりと描かれています。こうした描写は、モデルが労働者の女性であることを暗示しています。
この作品が制作される前年、モディリアーニは健康と経済的理由で彫刻の制作を断念し、以後は専ら絵画制作に挑みました。
しかし、単純化され上下に引き延ばされた人体像と、線と面そしてヴォリュームを統合した造形からは彫刻家のブランクーシやアフリカの彫刻の影響が見られます。
「小さなルイーズ」の顔のアップ
彫刻での人物描写への探求は、平面作品において流れるような輪郭線で表された表現へと結実したのです。
この他にもシャガールやユトリロ、ローランサンなど日本ではお馴染みの作品が数多く出品されていて、理屈抜きで楽しめる展示になっています。ゴールデンウイークをゆったりとお過ごしになりたい方は一度訪れてみてはいかがでしょう。
「夢見るフランス絵画展 印象派からエコール・ド・パリへ」
兵庫県立美術館にて6月1日(日)まで開催
その後は、東京展、北海道展、栃木展に巡回予定





