雑話119「ジャポニスム・・・意外なほど大きかった影響力」
美術の世界において、現在では西洋勢に圧倒されている日本ですが、19世紀末に芸術の都と呼ばれたパリでは、日本の美術は芸術家たちに強烈に影響を及ぼしました。
葛飾北斎「富嶽三十六景 凱風快晴」
ジャポニスムと呼ばれた日本美術の影響は、単に描かれたものを自分の作品に取り入れるといった模倣にとどまらず、当時進行中だった表現方法の改革に結びつき、モダンアートが生まれる一因となりました。
印象派によって視覚的印象は完璧に再現され、クールベやバルビゾン派以来、芸術家が取り組んできた自然の征服が完成されました。
あらゆる問題は解決されたかに思われましたが、それは新たな問題を生むことになったのです。
クロード・モネ「ポプラ、秋、ピンクの効果」1891年
自然の印象にすべてをゆだね、自分に見えている色と形を描いた印象派の絵は史上もっとも輝いていましたが、構図の調和、精神性などを欠いていました。
そこで、印象派のあとに続いた芸術家たちは印象派の残した色彩の輝きはそのままに、彼らが物足りないと思った要素を取り入れようとしました。
そんな芸術家の中で、日本の美術に解答を見出したのがゴッホとゴーギャンでした。
フィンセント・ファン・ゴッホ「ラ・クローの収穫」1888年
彼らは、日本の浮世絵から立体感や細かい表現を犠牲にして大胆な単純化を進めれば、絵としてより強い印象を与えることができることを学びました。
ゴッホとゴーギャンが目指した芸術の方向性は違いましたが、二人とも色調を強くし、奥行きを無視した絵を描きました。
ポール・ゴーギャン「フルーツを持つ女性」1893年
その後、ゴッホの手法はドイツを中心とする表現主義に、ゴーギャンの手法は様々な形のプリミティズムへと行きつくことになり、近代芸術を形成する中で重要な役割をになうことになるのです。



