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雑話163「ウォーホル①、キャンベル・スープ缶」

キャンベル・スープの缶詰やマリリン・モンローなどの作品で有名なアンディ・ウォーホルは、ポップアートのみならず、コンテンポラリーアートのスーパースターです。


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アンディ・ウォーホル「自画像」1968年

※2011年5月のクリスティーズで約2750万ドルで落札されました

そんな彼の最初期のポップアート作品は、新聞に掲載される安っぽい白黒の3行広告を取り上げたものです。


その一連の作品は、身づくろい用品から消費財まで、多様な商品やサービスの広告を元に描かれましたが、それらの広告を選んだ理由は様々でした。


例えば、下図の「手術前、手術後」は鼻の整形手術の広告を元にしていますが、ここにはウォーホル自身の悪化していく外見を良くしたいという願望が反映されています。


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アンディ・ウォーホル「手術前、手術後」1961年

実は、1950年代になると、彼の髪は灰色になり、大半が抜けてしまいました。さらに悪いことに、彼の鼻はどんどん赤く、大きく膨らんでいったのでした。


さて、この3行広告シリーズでは、ウォーホルはさらに客観的な、つまり芸術家の手が入った跡を取り除いたバージョンも実験的に制作しました。


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アンディ・ウォーホル「防風窓」1960年


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アンディ・ウォーホル「防風窓」1961年

※上図に比べると芸術家の手による痕跡が消されているのが分かります


2つのバージョンのうち、彼の周りでは客観的な作風の方が好評だったため、その意見を考慮して制作されたのが、有名な「キャンベル・スープ缶」です。


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アンディ・ウォーホル「キャンベル・スープ缶」1962年

ウォーホルがこの主題を選んだ理由は複雑でした。


キャンベルの綴りの一部”Camp”は、同性愛者の女っぽいしぐさを意味しています。ホモだったウォーホルは、しばしば自らの作品に自分がホモであることを忍ばせていました。


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アンディ・ウォーホル「足とキャンベル・スープ缶」1950年代

※ここでは正にCampの文字だけが見えるような角度で描かれています

また、キャンベル・スープには、家庭的なイメージもありました。ウォーホルによると、彼は毎日昼食にこのスープを食べていたそうで、実際彼と暮らしていた母親はこれをよく出していたようです。


しかし、最も重要な理由は、彼がこの製品を戦後のアメリカのスーパーマーケットや、食生活の転換の強制的なシンボルとして、直感的に理解していたであろうことです。


このようなスーパーマーケットに対するウォーホルの主張は、のちに続く作品の制作方法によって明確になりました。


手軽で早い制作手法を探していたウォーホルは、シルクスクリーンという、同じイメージを何度もスクリーンに謄写できる手法を発見しました。


そこで、ファクトリーと呼ばれた彼のアトリエには、芸術作品の組み立てラインが設置され、次の数年間に何百という絵画や彫刻が大量生産されました。


こうして、下の「200個のキャンベル・スープ缶」のような作品において、制作方法と題材の完璧な取り合わせが実現されたのです。


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アンディ・ウォーホル「200個のキャンベル・スープ缶」1962年