高校入試その他における愛知県の特殊事情 その2 | ワンラン日記

ワンラン日記

愛知県岩倉市八剱町「ワン学習塾」の日記。
さらに、代表・犬童の「ラン日記」の二本立て。
2017年は記録足踏みも2018年こそ目指せサブ3!
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当時20代の熱血教師だった武藤先生は地元近くの中学の校長先生ですね。

同級生が「子ども通っているんだけど『ムトサン』異動して来た!」とのこと。

 

さて前回のブログの続きです。

教育ニュースや入試に関する情報は首都圏もしくは近畿圏からの発信が多いです。しかしそれらの情報が愛知県の実情にそぐわないものもあります。そこについて書いている連載になります。

 

 

前回は「愛知県の定期テストは難しく公立高校入試の問題は簡単だ」と書きました。ちょうど塾生の一部から中間テストの結果が返ってきています。多くの生徒が通う中学は中間テストが廃止されているのでサンプルは少ないですが平均点を例示します。

 

H中1年 国64.2 数58.0 社59.0 理64.1 英67.3 合計312.5

K中1年 国59.3 数54.7 社59.7 理57.8 英64.3 合計295.8

H中3年 国56.8 数57.4 社52.0 理58.8 英54.3 合計281.6

 

極端には難しくなかったと総括できる点数でした。しかし1年生の最初のテストでも平均点は300点前後です。この一両日においても中国地方の塾の先生が「この時期の英数は90点でも厳しく接したい」とか九州地方の塾の先生が「この時期のテストは易しいですから点数が良くても油断するな」のようなことを発信されていました。正直そういう感覚が私には生まれない難易度なんですよね。

 

さて今日の本題です。内申点の話題になります。こちらも首都圏や近畿圏の先生方は以下の発信をされることが多いです。

「内申点は5段階と言われますが実質1はないので4段階です。内申の3は真ん中ではありません!」

確かに内申点の1は由々しき結果です。それは私も否定しません。しかし愛知県の塾の先生方や保護者の方と話すとこんな内容になります。「やっぱりサボると1も付きますよね。というか以前よりも1が躊躇なく付くようになりましたよね?」といった具合です。

 

これに対する定量的なデータが無かったのですが、Xで相互フォローの朝森久弥氏が昨年の秋に興味深い発信をされていました。

 

 

こちらのnoteでは東京都、千葉県、愛知県、岐阜県の内申点の分布が示されていました。以下一部引用させていただきます。

東京都全体での評定平均は約3.3であることがわかります。9教科×5段階=45点満点で換算すると、平均は約30ですね。教科によって多少違いがありますが、「5」または「4」が付くのが4割弱なのに対し、「2」または「1」が付くのは2割弱しかおらず、正規分布に比べて高めに偏っています。

千葉県全体での評定平均は約3.6であることがわかります。45点満点で換算すると、平均は約32ですね。「5」または「4」が付くのが5割近くあり、「2」または「1」が付くのが約1割しかいません。東京都よりさらに高めに偏っています。

愛知県全体での評定平均は約3.2です。45点満点で換算すると、平均は約29ですね。「オール3」よりは少し高いですが、東京都や千葉県に比べるとあまり甘くなったとは言えないことがわかります。各教科で約1割の生徒に「1」が付いており、これは相対評価の時代よりも厳しいですね。

岐阜県全体での評定平均は約3.1です。45点満点で換算すると、平均は約28ですね。平均は愛知県と同程度ですが、愛知県に比べると「5」と「1」の比率が低くなっています。

ということで、私が受けていた感覚は概ね合っていました。東京や千葉よりは内申の基準が厳しく、お隣の岐阜県より「1」が付く可能性も高いです。千葉県の塾の先生方が内申30くらいの生徒にやたら厳しい理由がちょっとわかった気がします。3では平均以下というのもあながちおかしくないのでしょう。

 

東京都では多い所では5割もの小学生が中学受験を経験し、その多くは地元の公立中学校以外の中学校に進学します。一方、岐阜県の中学受験率は1割に満たないので、東京都にいれば中学受験をしただろう子も大多数は地元の公立中学校に進学していると考えられます。
ただ、学力が高い傾向にある中学受験生が大量に抜けているにもかかわらず、東京都の公立中学校は岐阜県の公立中学校よりも内申点が高いです。東京都の内申点の付け方がそれだけ甘すぎるのか、あるいは公立中学校の生徒どうしを比べても東京都の方が岐阜県よりも教育熱心なのか…今後の検証が必要な所です。

そして朝森氏のこちらの意見に頷かされます。東京は25%、千葉は15%ほどの生徒が私立中学に進学しています。反対に愛知県は7%程度。塾の周りの岩倉市や小牧市であれば5%を切ると思われます。つまり「4」や「5」を取るのが相対的に難しいと考えられます。中受生が少なく上位層が多く公立に通うのでテストを難しくして評価をつけやすくしている側面もあるのかもしれませんね。

 

したがって定期テストにおいても、内申点においても愛知県の中学生はなかなか厳しい環境で過ごしているとご理解いただきたいです。その反面で公立入試問題は完全マーク式で全国的には易しめ。そんな特殊性を保護者の方や受験生は知っておいてほしいですね。