天皇の生前退位(譲位)制度の導入に特別立法方式が有効な理由 | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

皇室典範の改正に多くの方々が慎重なのは、現行憲法の定める象徴天皇制の根幹に関わる議論をして様々な問題点を克服しなければとても皇室典範の改正など出来ない、と、皆さん承知されているからだろうと思う。

皇室典範の改正で天皇の生前退位(譲位)制度を導入すれば、天皇の生前退位(譲位)制度が恒久的な制度として認識されることになる。
特別法の制定で対処しても、次から次へと特別法を改正したり新たな特別法を制定することになると、結局はなし崩しに恒久的な天皇の生前退位(譲位)制度を導入したことにはなるのだが、しかし、現時点では皇室典範の改正と特別法の制定では大分趣を異にすることになる。

特別法という形式を取れば、少なくとも天皇の生前退位(譲位)は極めて特殊な事情が生じた場合のごく例外的な措置であって、現時点ではこれを恒久的な制度として導入しようとする意図はないことが明確になる。
天皇の政治利用を何としても排しよう、あるいは天皇の政治利用と認められてしまう要素を完全には除去できないまでも必要最小限に留めよう、という趣旨は、特別法制定の方式の方がより明瞭になるはずだ。

特別法の形式にすれば、特別法制定の趣旨、理由、動機、大方の国民の意見など諸々の要素を条文に落とし込むことが出来るようになる。
天皇の生前退位(譲位)制度が濫用されたり、独り歩きをしないで済むような様々な配慮事項を条文に書き込むことも出来る。

まあ、知恵のある方々があちこちにおられるはずだから、問題をあまり複雑にしないように速やかにそれなりの結論を出されることだ。

法律家の知恵は、こういう時にこそ役に立てるべきである。
なお、摂政を置くことで対処したらどうか、と考えておられる方もおられるが、それでは天皇陛下の深刻なお悩みやお気付きに応えることが出来ない。

要路におられる方々のご奮闘を心から期待したい。