不毛な国会を実りの多い国会に変えていくために必要なこと | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

どんなに耕作が上手な人であっても、種を蒔かないでは何も実るはずがない。
民主党の輿石幹事長は政界工作の手練れのようだが、何の種も蒔かないし、そもそも種を蒔く気もないようだからこの臨時国会は不毛の国会になる。

10月29日に召集された臨時国会の会期は11月30日までの33日間だが、この33日という決して短くはない会期を目一杯使っても、大した成果は挙げられないだろうと思う。

この臨時国会で審議するのは、いわゆる赤字国債発行特例法案である。
本来なら平成24年度予算が成立した今年の3月に成立させなければならなかった大事な法案を成立させることが出来ず、ついに11月まで引き摺ってきたというのだから、野田民主党内閣に政権担当能力がないことは誰の目にも明らかである。

政権担当能力がある内閣なら3月に成立させることが出来た大事な法案を8か月も引き摺って来たのだから、野党にその責任の転嫁をしようなどと姑息なことは考えるべきではない。
野田総理も野田内閣の閣僚も自分たちの無能、無力を恥じるべきである。

しかし、野田総理も野田内閣の閣僚も一様に鈍感で厚顔のようだ。
恥ずかしい、という感覚を持ち合わせていないようで、こういう総理を戴いている私たちの方が恥ずかしくなる。

野田総理には適任者を閣僚に選任するという基本的な能力がなかったようである。

田中慶秋という法務大臣の人選ほど不可思議な人選はなかった。
本格的に臨時国会の審議が始まれば、前原国家戦略担当大臣外数人の閣僚の更迭が囁かれる事態になると思われるが、野田総理の適材適所主義はどうやら党内融和のための適材適所であって、とても仕事をするための適材適所ではなかった。

ここに来ていよいよ日本経済の舵取りが難しくなったようだ。

景気の先行きに赤信号が点りっ放しである。
こういう状況で起死回生の一手などそうそうに出てくるはずはないが、それにしても野田内閣は無策である。
日銀と連名で新たな金融緩和策を発表したくらいでは、日本の経済の好転は望めない。
何とか4年前のリーマンショックを乗り越えたときの経験を活かしてこの11月、12月の年末の決済危機を乗り切ってもらいたいが、かなり難しそうだ。

野田内閣は、決して地方に優しくない。
地方自治体に対する地方交付税交付金の支払いをまたまた繰り延べするとのことであるが、これで破綻する地方団体や企業が続出するような気がする。
野田内閣は、中央の自分たちのことは一生懸命考えるが、地方団体のことになると簡単に手を離してしまう傾向がある。

財務省と総務省は地方財政計画の策定等で常に対立を続けているが、野田総理は完全に財務省の論理に乗っているようだ。
地方団体が国に首根っこを押さえられているような現在の状況がいつまでも続いているのは明らかによくない。
地方団体の長の経験がない野田総理にはまるっきり実感がないだろうが、中央集権の弊害はこんなところにも現われている。

野田内閣は外交や安全保障の重要な懸案事項についても一切的確な方針を示すことが出来ない。
当面する国家財政、地方財政の逼迫状況に対しても解決先送りの弥縫策しか提示しえないのだから、野田内閣が完全に政権担当能力を失っていることは明らかだ。

いよいよ非常事態である。

野田総理は、この際自民党、公明党に党首会談を呼びかけ、衆議院の解散時期を明示して、選挙管理内閣に衣替えすることを宣言すればいい。
衆議院の解散時期さえ相手に分かるようにすればいい、というのだから簡単なことだ。
今は、騙し討ち解散、抜き打ち解散をするような時ではない。

政治経済の舵取りの手を離さないようにしながら上手に政権の移行を図るのが、野田総理に託された最後の使命である。