国際的な観点からは日本の自衛隊も軍隊としての実態を有している、という見解を私が否定している訳ではない。
そういう面もあるが、しかし日本では自衛隊は自衛隊であればいいではないか、というのが私の基本的見解である。
憲法を改正して自衛隊を国軍にしなくとも、安全保障基本法や緊急事態対処法、自衛隊法などの整備で足りるはずだ、というのが私の認識である。
憲法を改正してどうしても自衛隊を軍隊と呼びたいという人たちの頭の中にどんなことがあるのかを十分に考えておく必要がある。
おそらくこれらの人々は、自衛隊を本来の意味で戦う集団に変えたいのだと思う。
戦闘集団としての自衛隊員を憲法と法律の規定でガッシリと縛り、戦闘集団としての軍紀や様々な規律に違反した自衛隊員に対しては単なる公務員法違反、自衛隊法違反の責めを問うのではなく、特別の軍事裁判所で裁けるようにしたい、軍事裁判所の設置が可能になるような制度を導入したい、という思いがあるのだと思う。
現在の自衛隊は災害派遣などで目に見える貢献をしてきたからこそ国民は自衛隊の存在を高く評価している。
自衛隊の国軍化が進むと、こういう災害派遣等の業務は国軍の本体業務ではないのではないか、ということになってくる。
まあ、どんなことがあっても憲法９条の改正による自衛隊の国軍化はないだろうと思っているからこういうことを大真面目に議論する必要はないのだが、結構異論が多そうなので私の自衛隊国軍化反対論のほんのさわりだけ申し上げておく。