「国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。」という規定が憲法にあるなど誰も気にしていなかっただろう。
どうやら鳩山総理の切り札は、憲法75条のようだ。
よっぽどのことが無ければ、総理は刑事訴追からは免れるようだ。
しかし、訴追できないから事情聴取もほどほどにしておこう、というのは間違いだ。
憲法75条には、「ただし、これがため訴追の権利は害されない。」と但し書きがある。
一応の捜査ではなく、十分な捜査を遂げる必要がある。
鳩山総理は、これまでは捜査中なのでお答えできません、で通してきているが、まずは詳細な事情を記した上申書を提出してもらうのが筋であろう。
しかしそれで事足れり、としていたのでは、検察庁として十分仕事をしたことにはならない。
上申書の内容について直接本人に、記載内容に間違いないか確認することは最低限やらなければならない。
他人が作った作文を鵜呑みにするようなことは、絶対にしてはならない。
上申書に表れない事実関係も補足的に調査すべきである。
勿論、資金の実際の提供者である母親の事情聴取もしっかりしておかなければならない。
政治資金規正法違反事件について最終的に総理を不起訴とするのであれば、不起訴理由を明確にしておく必要がある。
捜査の手抜きで嫌疑不十分では、やはり困る。
関係者は逃げ隠れしていないのだから、十分の捜査を遂げた上での結論だということが国民に分かるようにして欲しい。
刑事訴追は免れても、政治家としての道義的責任は免れない。
総理だからと言って、納税義務を免れることも出来ない。
総理の出処進退を国民は、注視している。
それにしても、憲法にこんな規定があるなんて。
やっぱり俺も大臣になろうかな、なんて思い始めた人がいるんじゃないだろうか。