ブログの見た目を派手にするため、貼っておきます。
(続き)
ロボットアニメ史上初、ベッドシーンが登場した本エピソードだけど、
少なくともブライガーのスタッフは
エロをやりたくて、あのシーンを入れたわけではないだろう
スタッフは何がやりたくで、あのシーンを入れた、と主張するのか、って?
決まっている。
子供向け、という殻を、うち破りたかったのだ。
また、そういう話か。
それは散々バルディオスについての話の時、読まされたよ、と思うかもしれませんが、70年代終盤から、80年代前半のアニメシーンを語る時、この
子供向けという殻を打ち破る
という、製作者側と、そしてアニメファンが一体となっっていた方向性は、絶対に無視できないのですよ。
年に一度のカルナバルに沸き立つアステロイド・ウエストJ区。
目玉の一つは、最後の3日間、昼夜ぶっ通しで行われる音楽祭。
このフェスティバルを楽しんでいるのは、J9メンバーも、同様であった。
今日はアイザックのおごりである。
メイとシンは美味い料理で、キッド、ボウィー、お町は酒で、楽しく盛り上がっているが……。
ボウィー「しかしだなぁ、肝心のアイザックはお子様向きのオレンジジュースばっかり。どうして?」
アイザック「私は……酒が飲めんのだ」
お町「うっそぉ~~」
キッド「ギャハハハ。冗談きついぜ、アイザック!」
アイザック「本当だ! マジなんだ!」
どうやら、本当に酒に弱い上、当の本人は、それをいたく気にしている様子。
が、皆、彼を気遣ったりはしない。
何せもう、出来上がっちゃっているのだ。
こういう場に一人、しらふの人間がいると、どういうことになるか……。
キッド「年に一度のカーニバルに、うちのチーフだけしらけてんじゃ、シラケるじゃん?」
お町「言えてる」
ボウィー「ぜひ、こう、クイィ~といって欲しい気分だなぁ~」
そう、こういう場に一人しらふがいると、酒を勧められるのである。
お町「アイザックぅ~、飲みましょ?」
アイザック「……ようし、ならば、いってみるか!」
周りに乗せられ、ついに飲酒を決意したアイザック。
実は……。
アイザック「心配はいらん。
こういうこともあろうかと、さっき酔い止めの薬を飲んでおいたのだよ」
さすがはアイザック……であったが、いきなりバーボンのストレート、は、まずかった。
あっさりぶっ倒れると、店の中で寝入ってしまう。
メイとシンは、キッドたちを責めるが、彼らは反省する気ゼロ。
お町「アイザックって、意外とカワユイところがあったのねぇ~」
このシーンを見れば、スタッフが狙っている、ブライガーの視聴者層=ターゲットがよく分かる。
脱子供向けを狙っているのは間違いないが、かと言って、大人のムードあふれる飲酒シーンではない。
余談ですが、この時期、大人のムードの飲酒シーンて、多分みんな映画「カサブランカ」からのイメージじゃないかと思うんですけどね。
↓カサブランカ
「君の瞳に乾杯」のセリフは超有名。
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じゃあよく言われる、この時期、アニメファンとして狙われていた世代=中高生 かというと、
中高生の、大人に隠れての未成年飲酒シーン……ってムードでもない。
まぁ、設定年齢的には、彼らは高校生くらいなので、完全に未成年飲酒シーンなのですが!
完全にこのシーンは、
若者の飲み
である。
20代の「若さ溢れる青年期」である。
大人が後に、「最後の青春時代だった」と振り返る時期。
スタッフの心情としては、その辺りの年齢層が理想のターゲットで、中高生でも「子供」という感覚だったのだろう。
結果、そういった「大人のムード」を望んでいた、当時のアニメファンの志向にも合い、J9は、幅広い支持を受けるシリーズとなった。
もし、J9のメンバーが、設定年齢通り、高校生位の少年少女のイメージで、その位の少年少女がリアルに自己投影できるようなキャラ描写で作品が作られていたら……多分、こんなに支持されるシリーズにはならなかったんじゃないでしょうか?
この「カルナバルの嵐」というエピソード、ベッドシーンばかりが話題になる傾向があるのですが、
この飲酒シーンも、
当時のアニメが、どんな風に「脱子供向け」を目指し、実践していたか
が、よく表れているシーンだと思うのです。
(続く)