平成27年 五月場所 十日目
あの客席ががら空きだったころとは打って変わって、連日の大盛況が続く大相撲。
あのころを知る力士たちは喜びもひとしおです。
「正面も」
「向こうも」
相撲もまた商売です。
力士はとにかく、いい相撲を。
土俵の充実こそが相撲の本分です。
己の本分を存分に発揮した時天空。
躍進の若手をまさに一蹴。
お見事!時天空!
【ゆれる心】
時天空「さあ、早く家に帰ろうっと。」
時天空「ん??」
時天空「わ!人が倒れてる!!」
時天空「どうしよう・・・。助けなきゃだめかな・・・。」
時天空「早く帰って、野球見ながらビール飲みたいし・・・。」
時天空「でも・・・。この人倒れてるし・・・。」
英乃海「グハッ。」
時天空は巨人ファンだそうですね。
それにしても、絡めに絡めた内掛けでした。
負けはしましたが英乃海、時天空の分析がよくできているじゃないですか。
「足技はもちろんだけど、四つの型がしっかりしている。」
多くの人は足技ばかりに目を向けがちですが、四つ身の型に着目するとは。
英乃海よ、高校から時天空ファンだな。
年齢差が広がると必ず持ち出される、「相手力士をテレビで見ていた発言」。
年の差を第三者に伝えるのに大変有効でわかりやすいものですが、言われる方はあんまり嬉しくないと思われます。
けれど時の流れは皆平等。
英乃海もあと10年もたてば、今の時天空のように「高校のころテレビで見ていた」と言われて、時の移ろいを肌身で感じることでしょう。
そして結びは奇想天外な結末に。
なんでガガ丸ちゃんが結びで土俵に上がるのか、不思議に思っていたのに。
まさか!まさか!!!
わー!わー!わー!
ガガ丸、初金星!!!
52代「ちょっと、すごいね、ガガ丸」
刈屋「やりましたね」
戸部「放送席~放送席~。初金星のガガ丸関です」
「ありがとうございます。嬉しいです。もう久々に横綱とあたるようになって、これで金星でめっちゃ嬉しいです。」
「昨日、横綱に絶対勝てないと思ってラーメン替え玉10回したら、お店の人からもういい加減にしろって叱られて・・・。」
「でも勝てないにしろ、万に一つということあるで、もう一回ラーメンごとおかわりしたら、お店の人が1杯につき替え玉は3回までにしろっていうから、あ、これだったらもっと圧力かけていったらいけるかもしれないと思ったで、そのまま3回替え玉して・・・」
52代「・・・よくしゃべるねぇ~。」
刈屋「そうですね~。」
「そのうち餃子も食べたくなって、餃子を注文したらお店の人が、餃子は替え玉できねえんだぞ、って言うから、餃子はなくなっても手元のタレは残るんで、タレがある限りおかわりしてもいいですかってきいたら・・・。」
「そこのタレ入れに入ってるのは自由に使っていいぞって言ってくれたんで、めっちゃ嬉しくて頑張って食べて、餃子は9皿食べて・・・」
52代「・・・・・・。」
刈屋「・・・・・・。」
「そしたらお店の人が、これだけ食ったんだから明日は暴れた相撲取ってがんばるんだぞて言ったんで、応援してくれるのがむっちゃ嬉しくって、嬉しくなったら今度は焼飯が食いたくなったんで、焼飯お願いしたら・・・」
「お店の人が、これは奢りだぞって言って、大盛りの焼飯をご馳走してくれたんで、僕信じられないほど驚いて、最近の中で一番嬉しかったから、きっとお母さんもむっちゃ喜んでると思う・・・。」
ガガ丸「そのあと、焼肉に行ったで・・・。」
52代「焼肉も、食ったんでしょうな。」
刈屋「そうですね・・・。」
喜びを爆発させしゃべり倒すガガ丸をおいて、場内はさっさと後片付けに・・・。
積み上げられていく座布団。
賑やかだった場内が静まり、人気もまばらになったころ。
地下の棺から目覚めた魔物が・・・。
生き血を求めて・・・。
さまよい歩く・・・。
吸血鬼・千代丸
きゃ~!!!怖い!!!
まるでホラー映画のよう!!!
各部屋にんにく吊るして、身を守れ!!!