税理士法人ですからメインの仕事が税務申告を適正に行うということになりますが、中には困った顧問先がいらっしゃいます。

 

まず脱税志向の顧問先です。

これは新規で顧問先となったところ、代替わりで能力のない息子や娘が代表者となったような法人に多いのですが、とにかく税金を納めたがらない。余分な不動産を買ったり、外車を買ったり、家族に高額な給与を払ったりして、会社の利益を圧縮しようとします。

こちらがそれはできませんよというと、節税するのが税理士だろうと逆切れする始末です。そして、そういうところに限って作業量が顧問料と比較して多い。標準請求額の50%以下なんてなってしまうこともよくあります。経費が作りたいなら顧問料を上げてくれれば、こちらも資料をたくさん作るとか、税務上、主張できるような形式を整えることもできるのですが、現金出納帳はいい加減、意味の分からない支出があったり、契約書を隠したり、見せなかったりしてごまかそうとします。社員もこのような顧問先とは付き合いたくないし、脱税をいちいち直さなければならないので、作業時間も増えてしまいます。そのような顧問先はモンスタークライアントと私は呼んでおり、契約解除をすることにしています。弊社の税務署に対する信用並びに、社員の疲弊を考えると、こういう顧問先と付き合っている理由は全くありません。小さな税理士事務所であれば売上高は減らしたくないでしょうが、弊社は幸いにも新規の顧問先は増加しているので無理にお付き合いをする必要がありません。

税務顧問というのは依頼人との信頼関係を基礎に成り立つものなので、信頼関係がなければ顧問を受けられませんと言って、こちらから契約解除を行います。

 

次に顧問料の安すぎる顧問先です。

脱税志向の社長は同時に顧問料が安すぎることが多いのですが、脱税志向がなくても、ケチで外注先や仕入れ先の請求書を値切る悪い癖がある社長がいます。会社は充分に儲かっているのですが、ここも標準報酬額の50%を切るようになれば、赤字覚悟でなんでこんなケチな社長と付き合わなければならないのかと思います。取引先はこの社長に仕方なく付き合っているのですが、まず弊社が一番先に解除して離れることにしています。商売がうまくいっているときには、仕入れ先も付き合うと思いますが、商売が悪くなると仕入れ先も外注先もいなくなって、結局悪循環で倒産したり廃業になることになります。なぜ、倒産するかというと、会社が黒字だったのは仕入れ先に充分に払っていなかっただけで、商品やサービスが良かったわけではない、つまり会社の実力はないのです。商品やサービスの実力がないので売上が増加することもなく、現状維持なのですが、商品やサービスが良くないので売上先がもっといい商品やサービスを安く買えると気づいた途端に、他の競争相手にお客を取られてしまいます。そうすると一気に売上が減ることになります。もともと仕入れ先はギリギリの値段で納品しているので、追加値下げを要求してもそれなら結構ですと仕入れ先にも逃げられるということになり、じり貧ですね。

商売は、いい商品を売ってお客さんに喜んでもらい、仕入れ先からもいい値段で買って喜んでもらい、自分も適正な利潤を取るのが基本です。そうしないと永続しません。脱税志向でなく単にケチな社長には、弊社からも「ケチだと周りが付いて来ませんよ」ということをしつこく説いて、まずは、最大の味方である顧問税理士に世間並の顧問料を払うように説得しますが、脱税志向だと、時間の無駄なので説得もしません。即刻、契約解除しています。

 

弊社では毎年10件以上の法人の新規顧問先がありますが、中には上記のような顧問先を間違って受件してしまうことがあります。また、代替わりや社長交代でこのような顧問先に陥ってしまうこともあります。ぐんま税理士法人は顧問先に丁寧な指導をするため及び社員の疲弊を防ぐためにモンスタークライアントを排除することを方針としており、請求額/標準報酬額の比率のj低い顧問先、下位から5社を毎年、契約解除をすることにしております。なぜなら、前述のように脱税志向=ケチな代表者ということが多いので、自動的に契約解除の対象としております。毎年、最下位から5社を契約解除することで質の悪い顧問先を排除することが、いい顧問先に対して、いいサービスを行って、WIN-WINの関係を築くことに繋がります。

 

さて、弊社に解除された顧問先の行方ですが、詳しく調査はしておりませんが、大体、次のような割合です。

 

30% 倒産又は没落して廃業状態

60% 脱税発覚し、社会的信用を失い売上大幅ダウン赤字転落

10% 次の税理士とうまくやっている(これは弊社に契約解除されて社長が反省したのかもしれません。)。

 

税務署の皆さま、弊社から解除された顧問先は税務調査には格好のカモです。調査の成績を上げるためにも、租税正義の実現のためにもよろしくご協力の程、お願いいたします。