ニッポン国VS泉南石綿村 | シネマド館

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世界の映画を見ていると世界を旅しているように感じる・・・というブログではなく単なる「映画」と「おでかけ・旅行」をメインにしたブログです。とは言いながらも結構他のことも書いてます・・。

アスベスト

ニッポン国VS泉南石綿村

(2017年/日本/215分)

 

監督:原一男

 

【しょうかい】

 

「ゆきゆきて、神軍」「全身小説家」など数々の作品を生み出した原一男監督が、大阪・泉南アスベスト工場の元労働者らが国を相手に起こした訴訟の行く末を記録したドキュメンタリー作品。明治時代から石綿(アスベスト)産業が盛んとなった大阪・泉南地域。アスベストの健康被害を被った石綿工場の元従業員や近隣住民たちが国を相手に国家賠償請求訴訟を起こした、いわゆる「大阪・泉南アスベスト国賠訴訟」。原監督のカメラが「市民の会」の調査などに8年間にわたり同行し、裁判闘争や原告たちの人間模様を記録する。しかし、長引く裁判は原告たちの身体を確実にむしばんでいった。

 

 

【かんそう】

 

関西圏に住んでいながらこの訴訟は全く知りませんでした。
 
8年にも及ぶ訴訟なのに…恥ずかしい限りですわ…
 
大阪泉南地域は昔アスベストを扱う石綿工場がたくさんあり、多くの方々が働いていたそうです。在日韓国人の方々も多かったみたいです。
 
そこでアスベストによって健康を害された方々たちの訴訟を原一男監督が追いかけたドキュメンタリー。
 
3時間半くらいにまとめてありますが(途中休憩あり)、もっともっと彼らの戦いはあったと思うのでこれでも短いほうなのかな。
 
 
とにかく8年間諦めずに粘り強く戦い抜いた原告団の方々に頭が下がります!!!もちろん追いかけ続けた原監督にも!!!
 
 
前半は原告団の主なメンバーの様子を追いかけていきます。
 
 
が!如何せん皆さまご高齢なので途中お亡くなりになっていく方も…
 
 
だからといってもちろん訴訟は辞めませんし、カメラも回り続けます。
 
 
第一審で原告側が勝っても国がさ〜控訴するんよねー認めないのよ。
 
 
その控訴を阻止するためにまたもや原告団が戦います!国は控訴するなー認めろー!と。
 
 
わたし、裁判の仕組みがよくわからないのですが、原告団は第一陣から第三陣まで3回裁判に臨みます。そして、この繰り返し。勝っては国が控訴しようとするから阻止に立ち上がり…と。
 
 
そして後半はこのような原告団と国の戦いに焦点が当てられます。
 
 
訴訟中に原告団が大臣出せ!と厚労省に乗り込む場面で見た、日を変え人を変え出てくるお役所の下っ端たちが規則やら何やらでがんじがらめで情けないほどの対応がなかなかの逆エンターテイメント。
 
わかってたけど、はぁ?!て、感じでした。あのお役所の人たちも苦しいのかもしれんけど…
 
 
そして3回目の最高裁で原告団はとうとう勝訴を勝ち取ります!!が、そこには賠償対象から外される方も…
 
 
その賠償対象から外された方々の内の一人の奥さまが涙で訴えます。
 
そりゃそうやんなぁ。
 
同じように石綿工場で働いてたのにさぁ…働いていた年代が違うだけでさ。(でも当のご主人はその工場のおかげて一家が何不自由なく来れたんやから、という考え。奥さんがご主人に黙って原告団に入ったのです。ご主人は亡くなっています。)
 
 
あと、近隣に住んでいて被害に合われた方々や家族で被害に合われた方々(小さい頃保育所なんてなかったから工場に連れて行っていた)も賠償から外されていたかな。
 
 
だけど、不思議というかそういうもんなんかなーと思ったのがこの、涙で訴えていた奥さま。
 
 
待ちに待った厚労大臣が泉南に来ての謝罪。(最初は謝罪するから東京に来い、と言ってたお役所)
 
 
たった四十分の原告団との対面時間でしたが、大臣が帰るときにその奥さまが一人走って行って大臣に声をかけます。
 
 
するとその当時の厚労大臣塩崎氏、知っていたのか彼女の名前を呼び、言葉を交わし握手をし、名刺を渡し、東京に来た時は会いに来てください、とか言う。(絶対なんやかんや理由つけて会わへんくせに、て私は思うんやけど。会っても数分とかさ…)
 
 
その奥さま、あれだけ怒っていたけれど、個人的に話ができたことで、もうそれでだいぶ気が和らいだとか話していてそこに驚きました…
 
まあ、大臣やしなぁ、てのもあるのかもしれないし、奥さまにとって何か区切りが欲しかったのかもしれないけれど、顔と顔を合わすってやっぱり大事なことでそれだけでも心の持ちようが全然変わるんやなーと思いました。
 
これはどの場合にも通じると思うけど。
 
 
あっという間の215分でした。
 
観てよかったです。

 


2018.7鑑賞

 

 

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ありがとうございました時計