「好き」って?
タロウのバカ
(2019年/日本/119分)
監督:大森立嗣
【ストーリー】
戸籍も持たず、一度も学校に通ったことのない少年タロウには、エージとスギオという高校生の仲間がいる。エージとスギオはそれぞれ悩みを抱えていたが、タロウとつるんでいる時だけはなぜか心を解き放たれるのだった。空虚なほどだだっ広い町をあてどなく走り回り、その奔放な日々に自由を感じる3人だったが、偶然にも1丁の拳銃を手に入れたことから、それまで目を背けてきた過酷な現実に向き合うこととなる。(映画.comさんより)
【かんそう】
しんどかった~
最初から最後まで終始とめどなく流れている殺伐とした雰囲気、不穏さ…
観ている間、目も耳もしんどくて(ほぼ暴力や怒鳴ってる)、これ、年齢のせいやろか??とも、思ったけど、このしんどさこそ、監督がわざと描いてて演出してるんだろうなぁ、という感じもしました。
ずーっとうるさくてしんどかったので、フッとした「静」のシーンがとても染入りました。
彼らはあの、がちゃがちゃした中での毎日が「普通」の生活で、ほかの世界を知らなさそうだけど、どこかしんどいってのは感覚的にわかってたんじゃないだろうか。
だからタロウがあの子を後ろから抱きしめたシーンが印象深かったです。
いや、だって、タロウは「好き」て言葉の意味も知らないし、そういう、抱きしめられるとホッとする、とか、人をハグして慰める、なんてことも知らなさそうですもん。
なので、あの行動がスッとできたのにびっくりしましたが…あ、もしかして昔母親に抱きしめてもらった記憶とかがあるのかな。
でも、タロウは暴力に対しても何の躊躇もないので、やはりそこは本能的に何でもまず行動、ってなるのかもしれないな。
そんなタロウ役の方は新人のYOSHIさん。
なかなか素晴らしかったのですが、脇を固める菅田将暉くん、仲野太賀くんもさすがでしたねぇ。
菅田将暉くんなんてほとんど大声で怒鳴ってたりしてたから、エージが学校辞めたときの虚無感なんてめちゃくちゃ伝わってきましたわ。
タロウに教科書をあげた時の優しい口調にもグッと来たなぁ。
タロウが心穏やかに過ごせる日々は来るのかな。
人の温かさを感じられる日は来るのかな。
最後まで体も心もしんどかった作品でした。
うりぼう4つ:
2019.10鑑賞
ありがとうございました