(1951年/日本/97分)
監督:成瀬巳喜男
【紹介】
名匠・成瀬巳喜男監督が林芙美子の原作を基に、倦怠期を迎え、ささいなことで諍いを繰り返し、溝を深める夫婦の姿を描いた傑作ドラマ。単調な毎日を送る中で、徐々に自らの生き方に疑問を抱き始める妻の心理を、日常のキメ細かな描写から見事に紡ぎ出していく。描かれる内容は、現代にも通ずるかなり辛口なテーマながら、最後はきれいに丸く納まり後味も良く、心に染みる名品。(allcinemaさんより)
【かんそう】
【女優 原節子のすべて】特集より鑑賞。
原節子さん演じる三千代の気持ちが「わかるわー」でした。
全部が全部「わかるわー」ではないのですが、あの何の変哲もない単調な日々。
ちょっとしたことでイライラっとしたり口喧嘩する日々。
三千代は結婚して一人大阪に来ており、仲の良い友だちもおらず、外で仕事をしているわけでもなく、愚痴をこぼせる人もいなかったので余計にそういう鬱屈した想いがあったんじゃないかと思います。
その点では私は三千代と違って友人も家族も関西圏にわんさかいるので恵まれているのですが、たとえ普段のイライラを発散できたとしても、それでも私は夫によくイライラしています。
三千代の夫・初之輔(上原謙)が私の夫となんか似てるんですよねぇ~
もちろん、かっこよさとかじゃないですよ。
あの、煮え切らないというかいつもテンション低飛行というか、あの態度が!!
小さな小さなイライラやウツウツとした気持ちが積み重なってきた時に、ピッチピチの台風がやってきます。
彼女の若さならではの自由奔放な態度がまた、もー三千代をさらにいらだたせます。
んで、初之輔も彼女に甘いもんだから余計に「いぃー!!」
原節子さんは「いぃー!」となってもキレイですなぁ。
こういう何の花もない役を演じてもいいですねぇ。彼女は。
三千代はついに里子を東京に連れ帰る、と言い、自身も家に帰らないつもりで東京に向かいます。
そこで従兄に仕事の口を頼んだり、ちょっとええ感じで外食したり、と羽を伸ばします。
そうそう。たまには自分の中にも風を吹き込まないとね。
そして三千代が実家に帰った場面でも私が激しく共感したシーンが!!!
三千代が寝て寝て寝て寝て寝まくるのです!!!
どんだけ寝んのよ?!というくらいに寝るのですが、母はそんな三千代をそっとしておきます。
わかるー。
私も実家に帰ったらびっくりするくらいに寝ますもん。
よく眠れるんですよねー実家にいると。
リラックスするのでしょうか。
母も絶対に私を起こしませんし。
初之輔が三千代を迎えに東京にやってきて、二人でビール飲んだり、三千代が「○○円使っちゃった」とか初之輔に話したり、他愛もない時間と会話がまた二人をなぁーんとなくやんわりと元通りにさせます。
そういうのも「あー夫婦だなぁ」という感じがしました。
結局、三千代は初之輔と大阪に帰り、「平凡な日々こそが本当の幸せなのかもしれない」と思うのでした・・・
めでたしめでたし。
なのですが、この三千代の気持ちの浮き沈みは今のままだと、きっとまた繰り返されるんやろなぁ・・・
くうこのおまけ
・出てくるにゃんこがまぁーかわいっ♪なのですが原節子さんの猫をさわる手つきがとても優しく、彼女は猫を飼っていた事があるのかなーなんて思いました。
・三千代が自分のお茶碗にご飯をよそうシーンがあるのですが、結構な量をお茶碗に入れてて「おー!三千代ちゃんはけっこー食べるんやなぁ」とちょっと予想外でした。
うりぼう4つ:
ありがとうございました☆